第二九二回 ――沢山のコメントたち。


 それは、PCの画面に今。


 ノートではなく、八月最中にティムパパが購入してくれたデスクトップの画面……


 大きな画面にね、……時間を惜しむように、梨花りかと一緒に見る見ている。

 美千留みちるからのコメント。メールの数々……


 毎日毎日、送ってくれているの。どれも、どれもね、励ましのコメント。



 美千留は、メール見てないの? と言っていた。℮スポーツに関すること、ウメチカ戦と関係すること……そのことしか言っていなくて、そうとしか思っていなかった。


 でも、でもね……


 大丈夫? 辛いんでしょ? SOS出しなよ! 千佳ちか、我慢しないでよ!


 太郎たろう君から、事情を聴いたとしか思えないような内容。……かつて、僕をいじめていた子とは思えないような、そんな内容……で、泣いたっていいのよ、思いっ切りね。


 それが……それが最後のコメントだった。


 ……そっと、

 そっと手が置かれる、僕の両肩に。


「いいお友達だね、美千留さん……」

 と、梨花は言う、その一言だけを。


 僕の両肩に手を置いて、後ろから、そっと優しく……

 ウルッとくる、大きな画面が涙で滲みそうになったの。でも、でも大丈夫なの。


 ――もう元気だよ、僕。


 昨日からお泊りで、僕の部屋にいる梨花。ずっと、僕のことを見守ってくれた。


 僕の、世界で一人だけの優しいお姉ちゃん。そして、そしてだよ……


 薄紅色に染まり始める、このビッグなウインドウから見える午前六時過ぎの空模様を背景にして、少しだけれど、ようやく綴るって言ってくれた、梨花が……


 りかのじかん。――追加のお話となるか、短編とするのかは、これからなのだ。



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