第二五三回 よし! 駆け抜ける朝へと変化して、聞こえる鳥の歌。


 ダッシュ! ダッシュ! 駆け抜ける!


 ぼんやりとではなく、リアルな朝の光!


 鳥の歌はね、コケコッコーとその中を!


 朝とはいえ、まだ早朝の類だ。……無駄に使う体力だけれど、駆け出したくなるの。

 それはジョギングという形に。……見慣れた風景を走る、走る、走るのよ。



 ――流れる汗。それは青春の夏の証だ! 何故こんなにも熱くなっているのかというとね、ユーチューブで観たアニメの影響かな? 今は青春もののヒロインになりきるの。


 一昔前のアニメ。仮にも僕も部活を頑張っている身。

 何のアニメかといえば、スポ根のようだけれど……


 スポ根ではないの。チーム制で乗り物まで登場する。女の子ばかりのチームだから、余計に感情移入しちゃったの。例えば……そうだね、君にだってそういうことあるよね?



 そして流れる汗は、熱いシャワーの飛沫と同化する。


 今日は十四日の金曜日……


 昨日は十五人いた、あの場所……芸術棟に。新章あらたなる芸術部のメンバーたち。思い出してみて。見えるメンバーは点呼を執るならば、十四名だったのだ。ならば一名は?


 それはね、今ここにいるの。


 僕にだけ見える男の子……って、ええっ? それも目の前にだ。


 察しの通りならば、僕は今シャワー中で、はだかんぼだから……流れるお湯、飛沫だけを纏っているだけだから、透明感のある姿なので、しっかりと見えちゃっているの。


 目の当たりには、


 ……旧一もとかずおじちゃん。


 おはよっ、って言っている。……そう聞こえるの。それに笑顔だから満面なほど。


 じゃあ、今日も学園まで来てくれるのかな? 姪たち・・の活躍を見に。



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