第三十六章 ……葉月、それは君がいた夏休み。
第二二二回 令和二年八月六日。
つまり本日だ。
しかも、もう午後の風に、午後の光……煌めき溢れる。
授業は、もう終わって、ホームルームも終わって……
そして再び、
今度は転ばないようにと、ややゆっくり目の速度で走る車椅子。舞台はもう芸術棟、その一階だ。まずは僕からだ。あの日と同じ、初めて会った日と同じ服装の体操着姿。
大きく『
堂々たる二文字を胸に、……ゼッケンに。
そして、その文字にも負けないように、堂々たる挨拶と、おもてなし。
「あっ、来たね」
「さあ、ずずっと奥へ、若人よ」
と、押してあげるの、今再びの、葉月の訪問者の葉月ちゃん。……
振り向く令子先生は、
午後の煌めく日差し、薄青いガラスがフィルター役割をしつつ、涼しい色彩を演出。それでも支障はないそうだ。百号のキャンバスを描くのに、アクリル絵の具を使うのに。
絵を描く時の表情とは一変、
……とはいっても、その中の一部かな? 延べで百面相だから。
それによく見ると、
アクリル絵の具の塗れだけれど、素肌……つまり全裸なの。僕は、今となっては見慣れているけれど、それが令子先生の絵を描く時のスタイルだから……でも、でもでも、葉月ちゃんは……あらら、固まっている。でもすぐに順応するの。僕が思っているよりも葉月ちゃんは、物事を受け入れる器が大きいのかもしれない。颯爽たる令子先生の芸術部の活動開始に対して、何がともあれ、葉月ちゃんは楽しんでいる様子だった。
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