第二〇二回 そして約束通りに、とある遊園地。


 ――この場所は、それほど遠くない。



 頑張れば自転車で行ける距離だけど、……その、自転車に乗れないの。それ以前に、運転したこともない。序に言うなら、僕は泳げない。正真正銘の金槌なの。


 ……実はね、どちらも太郎たろう君は知らない。


 きっと、そう思うの。以前も今も、先にも後にも、そんな場面がなかった。太郎君とは同じクラスになったこともなく……だからプールも、一緒に遊んでもゲームなので。


 ――殆どゲーム。


 自転車も乗れない以前に持ってもいなかったので、証明するものもなかったのだ。


 そして、とある遊園地。


 特徴は、……そうだね、塔。太陽みたいな塔かな? もう五十年になるそうなの。お母さんよりも年上だね。と、そんなことを思っていると、ジェットコースター。とっても乗りたいの。ねえねえ、と、太郎君におねだりだ。てなわけで、即OKをゲットした。


 僕も太郎君も、スピード系は大好き。

 だからね、


「お前、大丈夫なのか? 苦手じゃ……」


「ううん、全然。とっても大好きだから」


 と、きっと少女漫画のように瞳キラキラで、太郎君の方が圧倒されて……って、それって、初めて僕と遊園地に遊びに行った日だね、君と二人で学校サボって……ううん、君は僕に付き合ってくれただけだったね。僕が泣いて「学校行くのやだ」って、駄々こねたから。……それから、ジェットコースター苦手なのは、梨花りかなの。反対にね、泳ぐのは得意なの。自転車もね、梨花は運転できるの。……だからね、くるっと向き直るの僕は、


「太郎君、僕も自転車ね、乗れるようになりたい」


「あれ? お前って乗れなかったのか?」


 自ら暴露! そして、太郎君は初めて知った。僕が自転車に乗れなかったことを。



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