第百八十八回 夏の季節は八十八夜。その渦中の下弦の月に一人想う。


 ――例えば、大好きな人のこと。



 思い浮かぶは太郎たろう君。そして梨花りか。……どちらも大好き。そこで思う。昨夜、梨花が泣きながらに言っていたこと。『好きの種類が違う』という意味までをも。



 僕は綴る。エッセイに。


 そして久しぶりに思える、書斎での執筆。書斎とはいっても、僕の部屋。四畳半の僕の寝床だ。兼ねている、執筆終了時に起きる睡魔。そのまま、そのまま、朝に目覚める。


 まだ夜明けも間もない、

 午前四時のお空。下弦の月もやや薄く、それでも夜の慕情。



 トキメク胸は、太郎君への想い。


 ギュッと愛おしくなるその想いは、梨花へと……確かに、確かに種類が違う。


 なら、僕と同じ想いを梨花はしているのかも。この夜は、梨花とは別々の床の間。お互いのお家に身を置いている。するとすると、PCの更新後の画面に『りか』からのコメント……つまり梨花からの返事と、応援のハートマーク。



 僕のエッセイも、百八十八回を数えた。気づけば、梨花の完結したエッセイの百五十二回を遥かに超えていた。……どうしよう。この調子なら二百回を超えちゃう勢いだ。


 ――超えちまえ!


 との、梨花のコメント。もしかしたら梨花、新たなエッセイを綴るのでは?


 ならなら、共同作業ではダメ?

 例えば自主企画をするの。……誰が? って、僕と梨花。


 そして思考が止まらずに、時期は葉月より。……ポエムがいいかな。相談相談、颯爽たるメール、梨花へ送る。そして電光石火の返事だ。――OKという二文字の。



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