第百六十三回 繋いだレールは、第二回戦へ。


 ――颯爽たる僕と、神崎かんざきさんが対戦している。



 交わる二色……


 彗星のように速やかに、ぶつかり合う激闘編。……本来なら、ウメチカ戦で起きる一部始終も前章の――激闘編。に加えたかったのだけれど、何らかの意味があって、このウメチカ戦の開始から……ううん、今この時を対戦している神崎さんと、そのメンツと再会してから新章に入っていた。例えるなら、瑞希みずき先生が紡いだレールは、とある場所であるウメチカまで続いて、僕と神崎さんを過去を超え、このウメチカ戦へと誘った。



 また例えるなら、


 色彩なら……黄色い悪魔は僕。でも、あくまで悪魔は悪魔でも小悪魔。だからJCは黄色い魔法少女へと変身する。そうなの。悪魔と天使は、僕の中では表裏一体なの。


 そして神崎さんは、その名字の通り、女神というイメージ。純白がよく似合う。しかしながら僕と同じで、悪魔と天使……いやいや容姿は僕よりも、かなり大人。僕は今日みたいにスポーティーな服装なら、小学生と間違われそうな趣だけれど、神崎さんにはその様なことはない。髪だって少し茶色の背中まで……僕はボブで、夏向けのショートボブ。


 神崎さんの名前は、美千留みちる。フルネームなら、神崎美千留。


 瑞希先生が僕に報告してくれた、前の学校でのスクールカーストを撲滅した件。もう僕みたいに、いじめで苦しむ子は……もう存在しないし、現れない。だけれど昨日、太郎たろう君が神崎さんたちに怒った理由は、スクールカーストが撲滅したことを知らなかったなんてあり得ず……なぜなら、瑞希先生と共同戦線の仲だから、お互いが協力して、ようやく成し遂げたことだから……だったら何故? それは僕に残ったトラウマに対してだ。


 だからこそ僕は、神崎さんと約束した。


 只々純粋に『℮スポーツ楽しもう』と。――そこにあるのは、決して復讐心などではなくて、知恵と一緒に練り出す技と技との、ぶつかり合い。それが繋いだレールだから。



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