第百六十二回 伝えられなかったことを、


 ――今宵、エッセイに載せる。


 本当なら、


 神崎かんざきさんのチームを含む八組のチームが、四ブロックに分かれて激突する第一回戦・午前の部に続いて……午後の部は、僕らのチームを含む六組のチームが三ブロックに分かれて激闘する様を、まるで高校野球の観戦……或いは高校ラグビーの試合みたいに実況する予定だったけど……本当に、本当にごめんなさい。


 僕の力量不足。

 時間の流れは、それを補う術を待たずに、幕を切って落としてしまった。


 ……でも、二十三日からと決まっていて、


 夏休みの宿題みたいに日にちもあったから、言い訳にしかならないけど……でも、それ以上に僕は、明日には伝えたいことがあった。――それ以前に、ウメチカ戦が行われている場所と同じく僕のPNペンネームも『ウメチカ』……小説サイトの『書くと読む』で、エッセイを綴らせて頂いている作家擬き……もとい、胸を張って『僕』とは言ってもJC作家だ。


 エッセイなら、

 そっと載せることができそうなの。


 そして颯爽と、第一回戦・午後の部で激突しそうなティムさんのチーム……またはチャンピオンの風格を持つ『ダブル・パパ』のチームは、僕ら……ではなく『MYチーム』と激戦を繰り広げることとなった。MY……この二人も、お互い似た者同士。だからといって、僕と梨花りかみたいに双子ではない。まず『M』はMさん。つまり瑞希みずき先生。ならば同じ発想で『Y』もイニシャルで、佳子よしこさんだ。――それからそれから、


 佳子さんの息子の、川合かわい未来みらいさんも参戦している。……そうなの。この三人を繋いだのは他でもなく梨花の勇気ある行動だった。またその模様は、梨花のエッセイである『りかのじかん。』のラストの方で綴られている。そして梨花が見せたその勇気は、僕には多大の勇気を掘り起こした。試合には敗れた瑞希先生だけれど、神崎さんたちに反省の念を齎し、スクールカーストの撲滅をも果たし、僕らへのレールを繋いでいたのだ。



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