第百六十回 恋する乙女は強し! そして倍返しだ!


 ――と胸中、いやいや正確には脳内で、こだまするほど叫ぶ。


 恋焦がれる燃える想いと、

 勢いの要となるモチベーションを保ちながら、再びも再び、馳せ参じる。



 僕は太郎たろう君と手を繋ぎ、そして梨花りか可奈かな、お母さんも一緒にピットイン。……ピットインというべきなのかどうかは不明だけれど、各々のチームにベンチが用意されている。


 さすがは『ドバシ・カメラ』のスタッフ達。


 キッチリと管理された会場だから、新型ウイルス対策における三密も考えられ、イベント運営の中に盛り込まれている。試合に参加する者、胸中での宣誓とともに、受付で必ずの体温測定を施されて、それをパスした上で、各々のベンチに座っている。


 そして一回戦は、もう始まっていた。

 僕が……正確には僕らが、この席に戻る前に。


 それとは関係なくも、颯爽たる白熱する試合。ここに集えしチームは十五……だったけれど、一チームがまさかのドタキャン。十四チームで試合を進行することになる。しかしながらトーナメント方式だから、偶数の方が割り切れて、全チームが平等に一回戦を迎えるわけだ。……つまり何が言いたいのかといえば、一チームだけ一回戦を戦わないチームが存在するはずだったのだけれど、そのチームこそが『チーム・ティム』で、二人のパパが中心となるチーム。……新一しんいちさんとティムさん。そして何を隠そう会場の…この会場のプロジェクトメンバーで成り立っているチームなのだ。


 ウメチカ戦が第一回にも拘らずに、何故かチャンピオン的なチームが存在して、準決勝から決勝へと勝ち進んだチームの前に立ちはだかる……と、いう予定だったそうだ。


 それが崩れ……想定外も想定外、一回戦から現れるのだ。ある意味、状況は厳しくなったと言わざるを得ない。その心は、一回戦からチャンピオンが立ちはだかるからだ。


 それでも僕は見る。今現在行われている試合を――神崎かんざきさんが今、神崎さんらしく煌びやかな女性キャラを駆使し、華麗なまでに戦っているその様を。……僕は見るのだ。



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