第百五十五回 現実を……現実を見ることに。
――なら僕は、常に現実を見ている。
だからこその、このエッセイ。……ウメチカは、僕の見たもの聞いたこと、そして僕の思ったことが、赤裸々に綴られている。駄文や拙い文章も、まだ中学生なのもあり大人の語彙力を求められると辛いものが……それらを含め、すべて現実に起きたことだ。
今起きていることが、まるで夢のことのように思えても、……後ろ向きな要素しかなくて後ろ向きな僕が、みんなのおかげで前向きになれたこと、……紛れもない現実。
夢の向こうは現実。
その過程を見るにあたり、見る夢の方が苛酷な場合もあり……多くは語らないけど、以前はよく魘されて――でも、今は夢を通り越し、見る自覚もなくパチクリと……
えっ、ええっ?
な、何と、目の前に太郎君がいる。……顔、とても近いの。
これって夢? って思うほど、
顔……僕の顔、火が出るほど熱くて……お部屋だって暑いのに、ホント熱くて。
「太郎君、これ夢だよね?」
……と、だってだって寝起きの顔、見られちゃって。意外と裸よりも恥ずかしくて。
「おいおい
今日から待ちに待ったウメチカ戦が始まるんじゃないか。お前がなかなか起きないから起こしてやったんじゃないか。……ほらほら、ぼーっとしてないで、さっさと顔洗って支度する! 梨花お姉もみんな、お前を待ってるんだぞ」
「やだ、朝シャンするっ!
ベタベタ気持ち悪~い! 太郎君も一緒に入って洗いっこしない?」
ウインク……したと思う。すると太郎君はそっぽ向いて、
「馬鹿言ってないで、さっさと朝シャンしてこい。バスタオルと着替えも持参してな」
と、顔が見事に紅潮。そして僕は目を覚ました。そこにも現実は広がっていた。
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