第八十七回 それは、ラズベリーの夢のように。
――ふと、そう過ったのだ。
まだ続く、……そう、この会話の渦中に於いて、僕はまだ、大人になれない少女。
「学校、もうすぐ始まるんだよ……」と、その言葉が出る。僕の……
僕の、今回の行動に至る原因となった、きっとその
それはね、君とは……もう、想い出の中だけになるのは、やだから。
「僕は僕の、
グスッ……
言いたいのに、言葉になんないよお……
「バ~カ、そんなこと気にしてたのか?」
察してくれた? でも、でもね、
「そんなにバカバカ言わなくても、
「まったく、お前って奴は……泣きべそ掻いて。
これも言わなきゃダメかな? ナンバーワンではなくオンリーワンだってこと。
お前が望むなら、毎日会いに来るからさ、学校終わってからでも。……お勉強はアレでも、ゲームだけじゃなく、お姉さんがOKならプラモデルだって手伝うから。……あっとそれからな、お前がもう少し大きくなって、そのアレだ。……お前がな、自分の意志で鍵を閉めてな、朝シャン……シャワーする際に……でな、終わったら、お前が笑顔で鍵を開けたならな、開けることができるようになったならな、……そのな、考えてやる」
太郎君は、きっと僕以上に顔が真っ赤……
ラズベリーのような味にも似た、そんな薫りのする想いが過った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます