第八十四回 その日誌……始まったばかりだけれど、


 ――激しきバトル、いきなり! その末に僕は敗北……見事なる完敗。


 対戦相手は、


 UT……ウルトラ・タロではなく、というよりかは、太郎たろう君は僕の傍らにいて、この戦いを見守っていたのだから、別人だ。――MとYのコンビ……そう記されている。


 察しの通り、行われていたのは℮スポーツ。


 来たる七月二十三日からの大激戦に向けての……そのね、前座よりも遥かに前座というレベルの所謂……肩慣らし程度のOLオンライン割り込みの対戦、それで苦戦の末に負けた。


 MとYのコンビ……かつての僕は、

 この人たちよりも三倍強いのだと誇っていた。……でもそれは、



「お前の油断、驕ってたな、だから負けたんだ」と、太郎君は冷たく言い放つ。一番言われたくない人に、一番言われたくなかった言葉を聞くことになる瞬間だ。それでも言われる、続けて「次は勝つんだ千佳ちか、……こうしてる間だってな、相手は寸暇を惜しんで鍛錬してるんだ。お前だってやってみせろよ、俺にここまで言われて悔しいだろ? なら俺に甘えず、お前の力だけで勝ってみせろよ」……と、僕は何も言えないままで、


 太郎君に言われっぱなしだった。……その日は、くどい表現でも冷たく帰って行った。



 グスッ……


 そこまで言わなくてもいいじゃない……


 と、まず泣いた。――だけれども零れる涙は、思いっ切り泣いた分だけは、


 僕に冷静な部分を拡大し、そのまま、そのまま拡大していった。

 嘘のようにスッキリ……心にレインボーブリッジ架かるように。


 太郎君の言う通りだ。


 僕は、いつの間にか太郎君に甘えていた。相手だってレベルアップしているように、僕だって強くならなきゃ……弱くなっちゃ意味ないんだ。――そしてレッツ次回へ!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る