第八十二回 水無月近し、……それは再びの、令和二年の息吹。


 ――休校解除へと向かう明日への鼓動とも思いたい。



 以前は休みがち、それが重症化して不登校だった僕。……でも、梨花りかたちと出会ってから、人も、学校も好きになれた。初めて、いじめのない生活を体感でき、


 まだいつになるか、


 いつから登校なのかはわからないけど、まるでランドセルを背負ったピカピカの一年生のように、何の憂鬱もなく、トキメキと、ワクワク感で本当に待ち遠しい……


 でもね、


 学校が始まったら、このように……朝も朝から、太郎たろう君と部屋で過ごせない。



千佳ちか、お前また……朝シャン終わって、その……裸でうろうろするな

よ」


「誤解を招くこと言わないでよ、もう服なら着たじゃない」


「あのなあ、そういう問題じゃなくて……入って来たのが俺だから良かったものの、知らない奴がだな、入って来たら……どうするんだ? ただじゃ済まないんだぞ」


「大丈夫、君にはもう見られてるし」


「お前なあ、俺の言ってることわかってるのか?」


「僕の全部を見て知ってる太郎君は、きっと僕を助けてくれるから、……信じてる」


「……お、おう、わかってるなら、それでいい」


 ――と、そんな具合で、太郎君の顔は真っ赤だ。……でも、こんな光景も、学校が始まれば体感できなくなってしまうけど……その時は、土日祝に集中する。そうか! 土日祝と……休日がある! 僕らのデートは、デートコースを歩むだけではない。この先行われる℮スポーツでの試合をする時も、例えばお勉強……二か月以上に渡る休校で、きっと学力も衰えているだろう。僕らの学校は違うけれど、それを一緒に補うそんな時も……


 一緒にいること。それ以上に、


 僕は、いつも君のことを想っている。夢中なのが楽しい……駆け抜ける青春だ。

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