第七十九回 お話は続くけれど、沈黙は続かないから。
――だから、℮スポーツを始めよう。
そこには、もう沈黙はない。
ハートフルなイメージとは異なるが、
マーチングなイメージ……それなの。
そして太郎君は、
「もう怖がることなんてないんだ、
お前が背負ってるそんなややこしいもの、俺がまとめて面倒見てやるからな」
……と、言ってくれた。この小さな胸のその奥で、キュンとなる瞬間! もしこのお話がラブコメというジャンルなら、女の子としては言われてみたい名言だ。
「嘘でも、嬉しい……」
それは、涙が溢れるほどに……髪から覆うバスタオルが、その涙を隠してくれる。
クシャ!
という効果音は出ないが、バスタオルごと、太郎君は僕の髪を『クシャ』とした。
「嘘なのか? 見ろ、俺の目を。
……俺は、お前をこれ以上泣かせないと決心したんだ。お前が笑えない明日なんて絶対に作らない。お前と一緒に℮スポーツ大会、笑いながら優勝してやるんだからな」
太郎君は、僕の顔を覗き込む。
その傍らでは、
「……それ反則だよ、
太郎君がカッコよすぎて、笑ってられなくなるじゃない」――その言葉の頃には、もう涙が零れるのを感じていた。でも……でもね、それ以上に、嬉しかった。
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