第七十八回 くどいようだけれど、前回の続きだから、
――思春期だから、その……男の子だけではなく女の子もね、何だか気まずいの。
僕のオールヌード、見られて、言い逃れできない程しっかりと。思いっ切り伸びまでしていたから、オールなだけに全部が全部……おまけに
僕の悲鳴を聞き取った
今は、僕のお部屋、四畳半のお部屋で、
僕は、白いビッグサイズなTシャツと、バスタオルを頭から覆って……で、
三人が三人とも横並び、体育座りで……目も合わせられずに沈黙が続いて、
誰から喋るのか? それ以前に何て声をかけるのか?
その言葉まだ見つからずで……そんな中に於いても、
「千佳、……あの、鍵締め忘れてたのか?」と、太郎君の声から……
「太郎君、……殴ったりしてごめんね、千佳の悲鳴が聞こえたから」と、可奈の声も。時計の針の音さえ響いていたこのお部屋、この空間にも人の声が脈打つ瞬間を……
聞き取る。聞き分ける。
「全部、僕が原因だね」……紛れもなく、その通りなのだけれど、僕は声にした。
「あっ、別に千佳を責めてるわけじゃ……」と、可奈は言ってくれるけれど、
「……忘れたわけじゃないの。
……鍵を、閉め忘れたわけじゃないの、太郎君」と、見た目わかりにくいが俯く僕。
「千佳?」と、太郎君は僕の方を向いた。可奈も、向いているようだ。……話す、そして話すの、僕は、「可奈は、思い出したくないと思うけど……去年の夏、僕は浴室で手首を切ったことがあって、それも自分から剃刀で……何でそうなったのか、自分でもよくわからないの。気がつけば病院で……あの時。だから、鍵を閉めるのが怖かったんだ」
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