第七十四回 ……まだね、続きがあるの。


 ――帰り道。お空は、もうお星様が似合う情景。



 寂しい思い以上に、

 楽しい時間。その刻の流れは思いのほか速くて、切ない思いを感じる。


 帰りは、此処も終了時間まで。……つまりは今日の営業時間の、今日のパパの体が開く時間まで、あのね、帰り道はね、帰りは一緒と思っていたのだけれどね、



「何言ってるの?

 まだまだこれからじゃないの、二人のデート」



 と、僕ではなく、(……僕はパパと一緒に太郎たろう君も含め三人で、お車に乗って帰るものと思っていたから)パパが言ったものだからビックリで、あ、あの……


 と、思っているうちに、太郎君も一緒にお外。


 手を引っ張られ……が、手を繋ぎに変わって、そう自覚し始めた時に、


「このまま、帰っちゃうの?」

 と、僕は訊いてみる。トーンは低め、リトルに寂しそうな趣をもって。


「それこそ『何言ってるの?』だよ、

 俺たちのデートは、ここからがクライマックスなの。パクパクマンに習って、たこ焼き買って次は俺たちだ。俺たちがパクパクマンになって……わかるだろ?」


 って、暗くてもね、目を逸らすだけでもなく、顔も逸らし気味だけど、

 太郎君の顔、真っ赤なのが何となくでね……


「え~、僕わかんな~い。その先どーなっちゃうの?」


「お、お前なあ、そこでJCらしいノリは止めてくれ」


「なあに、JCらしいノリって?」


「それだよそれ、急にキャラ変えるなって」……って、太郎君はタジタジだ。



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