第四十八回 ここで一区切り。そんな夜更けに目を覚ましたら、
――
狼狽する僕、布団まくる、起き上がる、開ける襖……四畳半の部屋を出るなり周囲を見渡す、捜す捜す捜す! もう帰ったのだろうかと……不安不安不安!
今はリビング擬きの、
台所も兼ねる……中途半端な場所に、僕は一人立つ。
そこを中心とし、向かうは六畳のお部屋。狭いアパートながらも、四畳半の部屋以外にも、六畳のお部屋を二つも構えている。一つはパパ(ティムさん)のお部屋……そこが右なら左側のお部屋。そっと……襖を開ける。覗き見ると、
――やっぱり!
少なくとも、僕が眠るまでは同じ布団の中にいた梨花……梨花の方が先に、鼾ではなくてスヤスヤと、寝息を立てて眠っていた。お布団も、僕の体温以外でも温まっているような、そんな気がする梨花の体温。……感じる。さっきまでいたようだ。
だから、今はまだ、梨花はお泊りの渦中にある。
それが証拠に、襖を開けたお部屋は、お母さんの部屋。――お母さんの傍らに、同じお布団の中に梨花はいた。まるで天使のような寝顔……いつの日か聞くだろう、その物語のお話。それは、もう一つの『二〇二〇年の夏物語』を、連想させるには充分だった。
自分でもわかるほど、
クスッ……と、笑み浮かべる顔のまま、お母さんと梨花が一緒に眠るお部屋……その六畳の部屋を後にして、この回の、スタート地点でもある四畳半のお部屋に戻る。
そして起動!
黄色のPC。カタカタと……今日のエッセイとして綴る。この先向かう物語……それは僕たちを結ぶ、二〇二〇年の夏への物語へと転ずる、起承転結の道程ということを。
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