第四十五回 そして、整いました!


 ――『帰ってきたお母さん』とかけまして『ハートのエース』と解く。その心は、


『ロイヤルストレートフラッシュ!』


 つまり仮想現実に於いて、必殺必中の『きゅうの道』が実現される。



 何を隠そう、それがお母さんの持ち味で、僕らチームの『切り札』的な存在。……本日をもって、『僕らチームのリーダーに是非とも任命したい!』


 ――それは、

 僕の、あなたへ対する復讐……ううん、子供としての可愛いわがままなの。


 この件に関しては、梨花りかも……とても喜んでくれた。思えば梨花は、僕とお母さんとの十三年間を知らない。それも、この章で謳っている『運命』という意味なのだろうか?


 僕が、その衝撃な事実を、梨花と一緒に知った時、

 涙ぐむ梨花が、可哀想に思えた。


 ……でも羨ましくて、最も醜い感情も垣間見えた。……否定はしないよ。その十三年間を知らずにいた梨花に、僕の何がわかる? とも思えていた。


 でも、それは、

 決して梨花のせいではない。梨花だって、本当のお母さんを知らずに育ってきた。



 梨花が一緒に暮らしてきたママとの、信じていたよりも当たり前だった日々、疑う余地もなかったのに、それが音を立てて崩れて……それでも気丈に、今も『育てのママ』と暮らすことを選択した梨花。――君は、僕よりも本当に強い子だ。


 ゲームでは僕にかなわなくても、


 芯の強さ、粘り強さでは僕は君にかなわない。――と、いうわけで、君は、やっぱり僕の尊敬する『お姉ちゃん』だ。……そう、僕らは硬い絆で結ばれた『最強のチーム』だ。


 そして『縁の下の力持ち』的な存在、可奈かなを忘れてはいけない。彼女がいなければ、僕らの硬い絆は実現していなかった。……今ならば、そう思えるのだ。



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