第三十四回 今日は四月一日!


 またの名を『エイプリールフール』――これもまた、年に一度で、

 年に一度、嘘をついてもいい日。求めるはリトルな、可愛い嘘だ。


 ……そうハッピーで、笑顔満開な楽しい嘘。



 例えるなら、学校が恋しい?


 まだ見通しもない登校の日、それ以前に新学期も、いつからなのか連絡もないまま今日を迎えている。もしも今日に、その連絡があったのなら、それは嘘となるのか?


 あくまで個人的な意見だけれど、


『お勉強大好き!』と、掛け合わしたのなら、それは真実となり得る。……まあ、つまりはね、嘘と嘘を掛け合わしたのなら、それは真実ということで……って、これではまるで僕が『学校で心行く迄お勉強したい』と、そんなニューアンスになってしまう。


 ……でも待てよ?


 とても羨ましいような、そんな発言だ。――世界では貧困のために、或いは病気のために学校へ行きたくてもいけない子供たちもいる。その子供たちから見たのなら、きっと僕らのことを……「何て贅沢な人達だろう!」と、その様な言葉を浴びせるに違いない。


 そう思うと、恥ずかしく、

 梨花りか可奈かな、みんなと出会う前までの僕が、とても恥ずかしく思えた。


 いじめを苦に不登校を繰り返していた、そんな日々が、そんな自分が。


 だからこそ、僕は綴る。

『ウメチカ』と名乗るエッセイを。今日もまた、明日もまた……


 もしかしたら、


 もしかしたら、いるのかもしれない。以前の僕と、同じ悩みを抱えている子……もっと大変な子だっていると思う。この拙い文面でも、ほんの少しでも力になれるのなら、


 ……なぜなら、僕もエッセイで勇気づけられた一人だから、


 僕のお姉ちゃん……梨花の、日々綴るエッセイで、いっぱい勇気をもらったから。



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