第二十三回 ホワイトな続き、それからEの誘惑?


 そうは謳いながらも、まずはホワイト。つまり、今はまだ十四日の土曜日。



 ――三月十四日のその日なのだ。


 ホワイトには二つの意味。一つは……そう、今目覚めたばかり、カーテンの隙間から差し込む光は、ぼんやりとした早朝の独特な風景。または白い世界。


 同じお布団、電気カーペットの温もり。……でも、それだけでもなく、寝息だけでもなく、息がかかるほど近くて、向い合せると、とっても密着する梨花りかの顔。


 ……なので、

 チュッ! と、ある種のお約束のように、唇と唇が触れた。


 パチクリと、梨花も目を覚まして……そのまま、


千佳ちか、今もしかして、僕にキスした?」と、物申したのだ。


「違う、チュッ! だけ。たまたま触れただけだから」……と、僕は言った。


 無理もない、このシングルな布団。


 この中で、二人で眠るには狭かった。それに、それにね……ピンクと黄色のNPCノートパソコンを用いてエッセイのコラボを果たして、所謂いわゆる雑魚寝状態ざこねじょうたいに近し……だけれども、丁寧な方だと思う。多少の密着は許容範囲だと、僕は思うよ。――そう思っていると、


「そうだね、今日はホワイトデーだね」


 と、急に梨花はニッコリ、話題まで変えてきた。相槌を打つ間もなく、梨花はそのまま話を続ける。……まあ、話といっても、一言二言の程度だけど……


「バレンタインの御返し、千佳も協力してね」


「へ?」


「へ? じゃないの! これは千佳のためでもあるんだよ」


 う~む、意味はわからないけど、二つは……ホワイトデーだな。すると――


「EスポだよEスポ。僕と一緒にパパにおねだりするの。それでもってお願い、千佳じゃないとできないことなの」って、梨花は、とびっきりの甘えた声で言ったのだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る