第88話 夜のお供決め再び・・・
夜9時。
食堂に集まる8人。
?
何故食堂にいるのかって?
それは例の如く、お風呂に入ったマユリの裸体を思い浮かべた少女達によって、第2リビングまでもが血塗れにされてしまったからだ。
因みに今回は、マユリとハルカが二人で淫れるところを一人一人言い合った末路だった。
早速今日の部屋割りを決めることにする美女美少女達。
「さて、今日もくじ引きでいきますか。サクラさん、お願いします。」
「はい、どうぞ・・・」
「ちょっと待ったぁー!」
ミカの指示で、昨日のくじを用意しようとしたサクラを止める一声。
声の主は・・・ヒメノだった。
「な、何よヒメっち。どうしたの?」
あまりの剣幕に、少々たじろいでしまうミカ。ヒメのとしては、今日こそマユリと一緒の部屋になりたいのだ。それに、またアリスと一緒になって悪戯されるのは嫌だった。
なので・・・
「あのさ、くじは昨日やったから、別の決め方しようぜ。」
と提案する。
「・・・例えば?」
「そうだな・・・相撲なんてどうだ?」
言いながらヒメノはシコを踏む。
「サクラさん。くじ。」
「かしこまりました。」
「ちょいちょいちょい。ごめんごめんって・・・冗談やがな。」
どこ出身だよ!
まあそれはさておき、取り敢えずヒメノは一つの案を絞り出した。
「くじはくじでも、あみだくじ何てのはどうだ?」
苦し紛れのわりにはいい案だと思う。ヒメノはちょっとドヤ顔だ。
「う~ん・・・まあそれでもいいか。皆さんはどうですか?」
まあまあ無難な提案だったのでミカは他のメンバー、特にマユリとハルカの意見を聞くことにした。
「うん、いいよ。」
マユリは賛成する。というか、特に反対する理由がない。別にこの中の女性達なら、誰と一緒でもいいからだ。
「じゃあ公平を幾す為に、あたしが線を引きます。」
欲まみれの後輩達に任せてはおけない。ハルカはペンを取り、一枚の紙に線を引いていく。少女達は覗きこもうとするが、ハルカは威嚇を使い、近寄らせないようにした。
五分後
「はい、出来たよ。じゃあ順番に名前書いていこう。最初は・・・マユリから。」
マユリにペンを渡すハルカ。
「オッケー。じゃあ真ん中に・・・っと。」
名前を書き終えたマユリは次に誰に渡そうか考える。ここは取り敢えず・・・
「はい。ミカちゃん。」
やはりここは、この別荘の所有者の娘を立てるべきだろう。マユリは咄嗟にそう思ったのだ。
「ありがとうございます。じゃあ、あたしはマユリ先輩の隣にっと。」
マユリの右隣に名前を書くミカ。名前だけとはいえ、マユリの隣は自分のものだというアピールをするのだった。
それに気づいた他の少女達。我先にとペンを求める。そして、いち早くミカからペンを奪い取ったのは・・・
「お貸しなさい!ワタクシはこちらに名前を書かせていただきます。」
そう言うと、アリスはマユリの左隣に名前を書いた。次いでヒメノ、ほむらもそのとなりに、少しでもマユリの名前に近いところに名前を書いていく。呆れながらハルカも名前を書いた。そしてサラも名前を書き、最後に残ったところにサクラが名前を書いた。
「いい?恨みっこなしだからね!まずは最初に名前を書いたマユリからいくよ。」
一番下に書かれた数字は別の紙で隠されている。なので今、線を目で追っても誰と誰がペアになるかわからないのだ。わかるのはこのあみだくじを書いたハルカだけ。
ハルカは線を赤ペンでなぞっていく。そして・・・
「マユリは2番ね・・・じゃあ、次はミカちゃん。」
ドキドキしながらなぞられていく線を見守るミカ。しかし・・・
「ミカちゃんは・・・1番!」
「うおろろろーん!」
ミカは聞いたこともないような叫び声を出した。そして意気消沈する。
続いてアリス・・・3番。
「ああ・・・」
消え入りそうな声を出し、その場にへたりこんでしまう。しかし、その姿も実に上品だった。
次にヒメノ・・・4番。
「チックショー!」
叫び声をあげ、頭を掻きむしりながら悔しがるヒメノ。剥き出しの感情がちょっと怖い。
更にほむら・・・1番。
「あちゃ~、流石に連日は無理だったか。」
ブツブツとマユリに聞こえないように呟いている。しかしまあ、仲の良いミカだから良しとした様だ。
そしてハルカ・・・3番。
「おっ、アリスちゃんとだ。今晩宜しくね。」
ハルカはアリスに微笑みかける。そんなハルカの笑顔を見て、アリスは顔を赤面させた。
ハルカ様とご一緒・・・これはこれでありですわね・・・
お次にサラ・・・4番。
「ヒメノ様。宜しくお願い致します。」
欲望の塊な少女達とは違い、ちゃんと現実を受け止めるサラ。ヒメノにしても、武術の達人であるサラと一緒なのは嬉しかった。
ということは、残りの一枠は・・・
サクラ・・・2番!
おめでとう!残り物には福がある。無欲の勝利だ。
「マユリ様。同室になれるなんて光栄です。しかし・・・本当に私なんかで宜しいのでしょうか・・・」
チラリとミカを見るサクラ。
「サ、サクラさん。じゃあ、あたしと代わって・・・」
自分のボディーガードであることをいいことに、サクラと代わろうとするミカ。だが、ハルカはそれを許さない。
「ミカちゃん!ダメだよ!恨みっこなしって言ったよね!」
と、軽く威嚇する。ハッと何かに気付いたミカはおずおずと引き下がるしかなかった。
そして反省する。いや、猛省する。いくらボディーガードとはいえ年上の女性だ。それなのにその職業を逆手にとって、失礼なことをしてしまったのだ。もうこの場で何も言うことはできない。
そんなシュンと肩を落とすミカの傍らで、サクラは耳打ちする。
「お気になさらないでください。私を気遣ってくれたそのお心だけで十分ですから。」
・・・ミカは泣きそうになった。自分はこんなにもいい人に、いつも守られていたのだ。なんて恵まれているのだろう。その事に気付けてよかった。今日この時を、ミカは忘れることはないだろう。
ミカを微笑みながら見つめるサクラにマユリは声をかけた。
「サクラさん。ボク早く寝ちゃうかもしれないけど、お話いっぱい聞かせてくださいね。」
屈託のないマユリの笑顔。思わずサクラはトキメいてしまう。
「・・・かしこまりました。」
凛とした表情で承るサクラ。決してその感情を表に現さない。大人の余裕なのだろうか・・・
いや、そうじゃない。どうせ報われない想いだと、端から諦めているのだ。
でも・・・それでもマユリとの思い出が欲しかったサクラは、今回の決定に心から喜んだ。顔には出さないがとても嬉しい。もちろん、ミカには悪いと思っているのだが・・・
それぞれが決められた部屋へと姿を消していく。今晩も各々は、それぞれの夜を過ごすのであった。
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