第82話 鼻血ってそんなに出るの?

 サクラの運転で商店街まで出掛け、食材を調達したマユリ達。大量の食料がマイクロバスの空いてる席に置かれている。

 少し買いすぎたか?

 そういえばハルカがお菓子を大量にかごに入れていたような・・・


 もう、仕方ない子🖤


 少しして、別荘に戻ったマユリ達は、まだ昼食を消化しきれていない(ハルカは除く)ことに気付き、少しアスレチックで遊ぶことにした。

 少女達は幼少期に返ったように、時間を忘れ無邪気にはしゃいで遊んでしまう。何て微笑ましい光景だろう。ほっこりする。

 いつの間にか日は傾き、もうお腹はペコペコだ(ハルカはげっそり)。

 ということでいよいよ、みんなで夕食の準備に取りかかることにした。

「マユリ~。これどうする?」

「それはみじん切りにしておいて。」

「オッケー。」

 マユリとハルカは次々に料理を作っていく。まさに阿吽の呼吸。この二人の間に割って入れるのは、辛うじてサクラとサラだけだった。でも他三人だって、ちゃんと食器を用意したりテーブルを拭いたりと、それ以外のお手伝いをしている。

 そして出来上がった夕食。みんながそれぞれ出来るところを頑張った、共同作業による傑作だ。どんな高級料理よりも、断然美味しそうに見える。

 それぞれが席につき、手を合わせた。

『いただきまーす』

 一斉に食前の挨拶をし、食事がスタートする。いつもなら我先にとマユリの手作り料理を貪る四人の少女達だが、今日は違う。

「マユリ先輩、どれがいいですか?あたし取りますよ?」

「ハルカ様、こちらもどうぞお召し上がり下さい。」

「お姉さま達。これ美味しかったですよ。どうぞ~。」

「サクラさんもサラさんもオレの前にあるこのエビチリ食べて下さい。」

 と、それぞれがキチンと気を使いながら食事を進めていく。


 成長したね・・・偉いよ・・・


 ・・・・・・


 一時間後。


 夕食を食べ終え、まったりとした時間が流れる。

 となると、そろそろ汗を流したい時間だが・・・

「マユリ先輩とハルカ先輩。お先にお風呂どうぞ。」

 ミカは先輩二人に先風呂を譲る。理由は、己を守るためだ。

「え?いいよ。広いんでしょ?みんなで入ろうよ。」

 マユリは折角なのでみんなで入ることを提案した。もちろんハルカもそれには賛成だ。

「いや、それではあたし達の身体が持たないので・・・」

 ボソボソ言うミカ。そう、この四人がこの二人と入るのであれば、おそらくお風呂ではなく血の海に入ることになるだろう。

「?・・・そう?じゃあ、お言葉に甘えて。ハルカ、行こ。」

「・・・うん、そうだね。」

 少し納得がいかない様子だが、マユリとハルカは着替えを持って浴場に向かった。

「ううっ、ほむほむはお姉さまと入りたかったよぉ・・・」

 二人の姿が見えなくなったのを確認した後、ほむらは血の涙を流しながら言う。

「だ、ダメだって!刺激が強すぎるよ。もしかしたら出血多量でリタイアだよ?それでもいいの?」

 ミカにはその光景が容易に予想出来たのだ。その理由は・・・

「それもそうですわね。だって・・・ワタクシも含めて既に皆さん、鼻血出してますもんね。」

 そう、アリスの言うようにこの場にいるサクラ、サラ以外の女子達は鼻血を垂れ流しているのだ。あの上品なアリスまでもがだ。

 確かにこの調子で一緒にお風呂に入り、マユリの裸体を見てしまったら、命の危険があるだろう。

「でもオレ、裸のマユリさんにお腹撫でてもらいたかったな。」

 とんでもないことを言い出すヒメノ。そして、その台詞を四人は想像してしまった。

 生まれたままの姿のマユリが、生まれたままの姿のヒメノのお腹を撫でている。

 鼻血の勢いが増す四人。

「ちょっと!だからダメだって!」

 ミカはハンカチで鼻を押さえながらヒメノを注意する。このままではマズイ!

「ワタクシだって、マユリ様の身体を洗って差し上げたかったわ。」

 今度はアリスが、らしからぬことを言い出した。その台詞をまたしても四人は想像してしまう。

 アリスの細い指がマユリの身体を、敏感なところまで含めて、隅々まで素手で洗い回している。

 鼻血の勢いは更に増し、床に滴り落ちる。これは絶対マズイ!

「ちょっ、ダメ・・・やめて・・・お願い・・・これ以上興奮させないで・・・」

 もう出血が酷くてクラクラしているミカは皆に懇願した。しかし・・・

「だったらほむほむだって、〇〇〇と〇〇〇を◎◎◎してΧΧΧされたかったよ!」

 ほむらが止めの妄想を口に出した。そして少しの沈黙。


 ブシャーーー!!


 言った本人も含め、四人とも盛大に鼻血を吹き出した。妄想だけで何してんだろ。この子達。


 一時間後、お風呂から戻ってきたマユリ達は、サクラに先程までいたリビングとは別の部屋に案内された。何故なら・・・今、あそこは凄惨な状態になっているからだ。何だか訳のわからないマユリだが、ハルカは何となく察する。


 何してんのよ。あの子達・・・


 ため息をつき頭を抱えるハルカと、そんなハルカを不思議そうに見つめるマユリ。

 その後、出血の酷かった四人だが、それぞれサクラとサラに介抱され、何とか誰もリタイアすることなく、一時間後には復活することが出来たのだった。


 やれやれ・・・

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