第26話 ハルカにしか頼めないこと

「おっはよ!マユリ!」

 火曜日、人のまばらな朝の登校時間。1人歩くマユリを、追いかけてくるような形で声をかけてくるハルカ。いつも元気なその姿を見ていると、今日も1日頑張ろうという気になってくる。しかし、マユリの心の中には昨日感じたモヤモヤがまだ残っていた。

 ここは親友に相談してみよう。

「あのさ、聞きたいことがあるんだけど。」

 少し神妙な顔で話しかけるマユリ。

「なに?」

 ハルカは何かを察し、真剣に聞く体勢をとる。マユリは重い口を開いた。

「えっと・・・女の子が女の子の胸とか触って、その・・・興奮とか・・・するのかな?」

「ハァ?」

 まさかのマユリの質問に、ハルカは凄い顔をしてしまった。それはそうだろう。マユリはそんなこと言うタイプではない。だが、親友の思いきった質問だ。真面目に答えなくては・・・

「まあ手には気持ちいいかも知れないけど、興奮はしないんじゃない?」

 さすがハルカ。もっともな答えを言う。

「そうだよね。でさ、ここからが本題なんだけど。ハルカ・・・胸揉ませてくれない?」

「ハァ?」

 本日二度目の『ハァ?』が出てしまうハルカ。もちろんとんでもないことを言っていることはマユリにもわかっていた。

「いや、実際に体験しないとわからないことってあるでしょ。それに、こんなことハルカにしか頼めないから。」

 モジモジと恥ずかしそうなマユリ。確かに、こんなこと余程気心の知れた人間にしか言えないだろう。だが・・・ミカの悪い影響がマユリに出始めているように思え、少し心配になってしまう。

「まあいいけど・・・ここでするの?」

「ダメ?」

 改まってすることでもないと思っているマユリ。しかし、触られる方からしたら、なるべく人目につきたくないのだ。

「さすがにここでされるのは嫌だな。放課後にしない?」

 少し恥ずかしそうにハルカは言う。マユリとしては、結果的に触らせてくれるのでなんの問題もない。

「うん、そうだね。そうしよう。」

 何故か少しワクワクしているマユリ。

「ありがとね、ハルカ。」

 ご機嫌のマユリは足軽く、少し不安なハルカは足重く登校していくのであった。


 放課後


 他の生徒達が帰った後、マユリとハルカは女子トイレの中で向かい合っていた。

「いいよ。どうぞ。」

 言いながら胸を前に突きだすハルカ。制服の上からでもその大きさがわかる。


 改めて見ると大きいな。ハルカって何カップだったっけ?


 自分の胸よりも明らかに大きい。少し羨ましく思うマユリ。まあそれはさておき・・・

「では、失礼します。」

 ゆっくりと、慎重にハルカの両胸に手を押し当てるマユリ。


 フニュ🖤


 柔らかい感触が伝わってくる。そしてそのまま鷲掴むように何度も揉みしだくマユリ。

「ん🖤んんっ🖤」

 必死に声を殺すハルカ。まさか、こんなに一心不乱に揉まれるとは思っていなかったのだ。

「ふぅ・・・確かに柔らかくて気持ちいいけど、性的に興奮することは無いかな。」

 満足した様子のマユリ。ハルカは少し息を切らしていた。


 よかった・・・やっぱりボクはノーマルな女の子なんだ。


 マユリは胸を撫で下ろし、安堵する。しかし、せっかくだからもう一つ試したいことがあった。

「じゃあ次は、でお願いします。」

 目が点になるハルカ。


 えっ、まだやるの?もうこれ以上は・・・


 しかし大親友の頼みとあれば、何とかしてあげたいと思ったハルカ。手を制服の中に入れ、下着のホックを外す。

「下から手を入れれば触れるでしょ・・・どうぞ。」

 もうどうにでもなれといった気持ちのハルカ。マユリは遠慮なく受け入れる。

「ありがと親友。大好き🖤」

 告られた。

 少し顔を赤くするハルカだが、それは友達として好きだと言っていることはわかっていた。

「はいはい。早く済ませちゃって。」

 そう言うと、ハルカは目を閉じる。さすがに同姓とはいえ、恥ずかしいのだ。

 マユリの手が制服の中に入ってくる。


 ん🖤


 揉まれはじめると、ピクンッピクンッと身体を震わすハルカ。

「うわぁ。スッゴく柔らかいよハルカ。おっきなマシュマロみたい。」

 揉みながら感想を述べるマユリ。ハルカとしては、この状況でそんなこと言わないで欲しかった。まるで言葉攻めをされているようで、変な気分になってしまうからだ。


 5分程経った頃、マユリはようやく満足したのか、ハルカの胸から手を離した。

「なるほど。柔らかくて気持ちいいからいつまでも揉んでいられるけど、やっぱり興奮はしなかったな。・・・よかった・・・」

 マユリはハルカに心から感謝する。しかし、今回は胸にしか集中していなかった為、ハルカの表情を見ていなかったマユリ。もし顔を見ながら揉んでいたら、結果は違っていたかもしれない。

「ありがとう。ほんとスッゴくいい勉強になったよ。」

 満面の笑顔のマユリ。ハルカは洗面台に手を置き、荒い息をしていた。声を出すのを必死に堪えていたこともあるのだろう。もうヘトヘトの様子だ。

「ハァハァ・・・それはよかった。もう終わりだよね・・・」

 未だ余韻が残る胸に、下着を着け直しながらハルカは確認する。大満足のマユリは、コクンと頷いた。

「ここまでしてあげたんだから、帰りに何かおごってよね。」

 さすがにこれだけのことをされて、何も無いのでは納得がいかないハルカ。乱れた制服を整えながら、マユリに授業料を請求する。勿論マユリは断らない。いや、むしろ最初からお返しを考えていたのだ。


 二人はこの後ファストフード店に寄り、バーガーセットをマユリの奢りで食べて帰った。


 今日のことを、マユリはいい勉強になったと言っていたが、それはハルカも同じだった。直で胸をあんなに揉みしだかれると、身体が痺れた感じになり、思考が上手く働かなくなることがわかったからだ。後、こういう行為をされるとわかっているときは、替えの下着を用意しておいた方がよいかも知れないことも・・・


 今日はハルカにとって、マユリが更に特別な存在になった1日でもあったのだ。


 

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