50話 サクサク。
50話 サクサク。
――ウムルを撃破した翌日の夜。
――突如、わけもわからず、異空間に飛ばされた紅院美麗は、
「東西南北……どれかを選んで、ゴールを目指せ……みたいな感じ?」
どうにか、理性を保ち、
脱出するための方法を探していく。
その途中で、
『ツァール』に出会い、
『無限ループを経験』したのちに、
「――単純な話だよ、紅院美麗」
そう言いながら、ツァールは、
右手をビキビキと変形させていく。
「貴様は、『人の社会』においてはカースト最高位の支配者……だが、私の視点では、土の中で卵を産み続ける『女王アリ』と大差ない。こちらの視点では、『他のアリよりは多少大きい』というだけ。つまりは踏みつぶせば殺せる程度の虫ケラに過ぎない」
そう言いながら、
そのヤバそうな右手を、紅院の胸部にブチ刺そうとした、
そのタイミングで、
キィン……ッ……
と、軽やかに次元の裂ける音が響いた。
音の発生源は、ツァールの足元。
「ばっ、バカな……干渉された……ありえな――」
最後まで口にすることはできなかった。
セリフが完結する一瞬前に、
次元の傷口から、
『仮面をかぶった閃光』が飛び出して、
「――深淵閃風(しんえんせんぷう)――」
登場すると同時、
その閃光は、美しい水面蹴りで、
ツァールの足元をさらって、
そのまま、
「魂魄一閃」
サクっと、ツァールを瞬殺。
すると、
ツァールは、
「死――神格の私が――脆弱な人間の一撃で――死っ――そんなバカな――」
理解できない現状に困惑したまま、
『――『終焉の呪縛』発動――』
特殊な呪いを発動させる。
その呪いを、
「解呪一閃」
サクっと切り裂いていく閃光。
(……で、あとは、イグを捕まえて……)
呪縛の一部をあえて残し、
呪いを膨張させて、
タイムラグを殺し、
奥にいる『イグ』を引きずり出す。
「――えっ……なっ……えぇ?!」
わけが分からず困惑しているイグに、
センは、
「――一閃――」
サクっと必殺技をかましていく。
「――っっっ!!! ……あっ……あぉあ……」
アッサリと魂魄を一刀両断されたイグは、
バタリと膝から崩れ落ち、
「……い、一撃だと……バカな……私は……『S級のGOO』だぞ……私を……一撃……そんな……そんな、アホな……」
「はいはい、はいはい」
心底ダルそうに、イグの言葉を切り捨てると、
そのまま、センは、イグの頭をベチャっと踏みつぶした。
あっさりと完全に死に絶えたイグ。
二体のGOOが、目の前で、あっさりと殺された。
その事実を目の当たにした紅院は、
普通に呆けていたものの、
「……あ……ありがとう……」
どうにか、戸惑っている自分の心を律して、
センに対して、当然の感謝を贈る。
すると、センは、そんな紅院の感謝を、片手で払いのけるような仕草をとって、
「準備運動の段階で感謝はいらない。本番が終わってからもいらんけど」
「じゅんび……えっと、それって……もしかして……」
彼女はバカだが賢いので、
すぐに、センの言葉の意味を理解する。
「今、殺した二体が、この前のロイガーみたいに……強くなって復活する……ってこと?」
「ああ、たぶんな。知らんけど」
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