3話 いくら強くなっても、究極超邪神の頂点には届かない。


 3話 いくら強くなっても、究極超邪神の頂点には届かない。


「ただの人間が……どうして、そんなっ……なんだ、その膨大な魔力……っ」


「私はただの人間ではない。偉大なる王に仕える者。貴様のような、ただのバケモノとは格が違う」


 鼻高々で、自身のステータスでマウントをとりつつ、

 ゾーヤは、虚影の力をフルに活用し、


「王の御前である。ひざまずけ」


 そう吐き捨てると、

 美しく、剣をヒュンヒュンと往復できらめかせて、

 イスタシャの『首から上』と『腰から下』を切り落とす。


「あっ、がぁあああああああっっ!」


 激痛に顔をゆがませているイスタシャ。

 支えとなる下半身を失って、その場にボトリと倒れこむ上半身。

 その上半身も、首と胴体の二つに分かれて、三つに分けられている。

 そんなイスタシャの頭を踏みつけながら、

 ゾーヤは、


「陛下、活きのいい神話生物を三枚におろさせていただきました。さあ、どうぞ、ごゆるりとお召し上がりください」


 熟練のメイド長のような柔らかな表情で、ニコリと微笑む。


 そんな彼女を尻目に、


「……いや、言い方、もう少し考えてくれる? あと、別に、俺が食べるわけじゃないんだが……」


 軽く引きながら、そうつぶやきつつ、

 センは、図虚空にイスタシャを食べさせる。


 もぐもぐと咀嚼してから、ペっと吐き出す。

 相変わらず、女性型のGOOは、特にデフォルメされることもなく、そのままの姿。


 イスタシャは、反抗的なGOOやアウターゴッドとは違い、

 素直に、自分の状況を受け入れた。


 ゾーヤにすら勝てなかった自分が、

 ゾーヤを遥かに超えているバケモノであるセンエースに、

 何をどうしても勝てるわけがないし、

 そんな相手に逆らうのは得策ではないと、

 生存本能が大合唱を上げているので、

 極めて素直に、イスタシャは、センエースに平伏した。


 ――現在のセンエースは『下の中』ぐらいのハンパなランクとはいえ、

 しかし、一応、『アウターゴッド』としてのポジションを得ているので、

 GOOの視点では、さからう気は一切おきない模様。


 圧倒的強者に絡まれた弱者は、

 ただただ、震えながら従うことしかできない。



 ★



 ――この日の夜も、センは、順調に、

 GOOとレアアイテムを獲得し、

 順調に強くなっていく。


 しかし、いくら強くなろうと、


(まだ、『真なる神』の領域にすら届いていないカスが、私の本体に勝てると思うな。私の本体は、まごうことなき究極超邪神の頂点。一にして全、全にして一。ハンパなザコなど、目の前に立つ資格すらない)


 ヨグからの評価は厳しい。


 限界を超えて、

 ドラ〇ンボールも真っ青の勢いでインフレしていながら、

 しかし、ヨグには届かない。


 それが現実。

 そんな現実を前にして、センが、心底から辟易していと、

 そこで、


「――ん?」


 最初に、センが、『世界の違和感』に気づいた。

 何がどうとは言えない、感覚の話。

 直観としか言えない『胸騒ぎ』がセンの脳裏を走った。


「……なんだ……なにかが……」


 心がザワザワする。

 重たい『不安』が全身を包み込む。

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