18話 加速する混沌。


 18話 加速する混沌。


(登校だけで、体力の大半をもっていかれてしまった……これだからイヤなんだよ、孤高以外のルートを通るのは……)


 辟易しながらも、

 しかし、どこかで、

 こういう時間も悪くない、

 などと思っていることに対して、

 センは、気持ち悪いと思いながらも、

 しかし、どうしても憎み切れない、という、

 なんとも厄介なスパイラルに陥るセン。


 何もかもがうまくいかなくて、

 けど、ある意味で、

 『望んでいた全てを手に入れた』と言っても過言ではない。


 そんな、ワケの分からない狂った世界の底で、

 センは、今日も生き続ける。




 ★




 ――学校に到着したセン一行。

 車から降りても、まだ、彼女たちは、

 センに対する猛口撃をとめることはなかった。


 というか、車から降りて、周囲の目が刺さるようになってからの方が、

 彼女たちのテンションは高かったと言える。


 まるで、周囲の全員に見せびらかすかのように、

 または、周囲の女子に牽制するかのように、

 彼女たちは、『センが自分たちの男であること』を、

 必死になってアピールしている。


 その強烈な行動に対し、

 センは、当然、


(う……ウザすぎる……しんどい、しのどい……)


 と、もはや、口癖になってしまった『疲弊の言葉』を、心の中で連呼する。


 センに降り注ぐ奇異の視線は指数関数的に増加していく。

 ほぼ一瞬で、『時空ヶ丘学園でもっとも有名な男子』に成りあがったセン。


 何が何だか分からない周囲の学生たちは、

 学生特有の好奇心を大爆発させて、

 とにもかくにも情報を集めようと奔走。


 その流れの中で、

 どこから漏れたか、

 『彼女たちが、そろって、センと結婚した』、

 というウワサが、校内を全速力で駆け巡る。


「いやいや、ありえないだろ。だって、あのセンとかいう男子、一年だろ? 年齢的に無理じゃん」

「そもそも、この国で重婚できないから」

「そもそもをいうなら、なんで、あんな顔面偏差値30台のカスが、K5と結婚できるんだよ」

「おいおいおい! なんか、マジらしいぞ! ただの噂じゃなくて、ガチらしい!」

「有力スジからの情報なんだが、あの五人、本当に結婚しているらしいぞ。なんでも、各家の力を総動員して、法を捻じ曲げたらしい」

「いや、まあ、彼女たちの家がその気になれば、出来なくもないとは思うが……」

「な、なんで、そこまでして、あんなビミョーなヤツと……」



 K5全員が、一般人と重婚、

 そのセンセーショナルなネタは、

 時間を飲み込んで加速していく。


 誰もが、ゴシップ脳を爆発させて、コトの真相を望んだが、

 しかし、K5が記者会見を開いてくれるワケもないので、

 結局のところは、『ウワサの重ね掛け』を又聞きし続けるしかなかった。


 当人たちから、直接、コトの真相を聞き出す、

 というのも、なかなか、

 ――というか、だいぶ、ハードルが高すぎた。


 『彼女たちを怒らせたらヤバい』ということぐらい、

 まともな人間なら、誰だって知っている。

 というか、『イカれた変態』だって、

 彼女たちが相手だと裸足で逃げ出す、


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