49話 ガタノトーア、ゲットだぜ!


 49話 ガタノトーア、ゲットだぜ!


 センは、図虚空に、ガタノトーアの体を食べさせる。


 そして、


「眷属システム、起動」



 前回のループで手に入れた拡張機能を発動させる。



 死に掛けの神話生物を捕食して、使役できるようにするという特殊システム。


 図虚空は、ガタノトーアを、数秒、モグモグしたあと、ペっと吐き出す。


 吐き出されたガタノトーアは、

 携帯ドラゴンほどではないが、

 可愛くデフォルメされた姿になっていて、

 サイズも、バスケットボールぐらいになっていた。



「おぃいいいい! なんだ、この姿!」



「よく聞け、ガタノトーア。お前には、これから、山ほど迫りくるであろう『お前みたいなやつ』から、こいつらを守るという使命を与える」


「……ふ、ふざけるな……てめぇの命令なんざ、誰が」


「俺に逆らってもいいが、この命令は、かなり重要な命令だから、反したら、俺が本気で怒るぞ。俺は、たいがいのウザ現象を、笑って許せるという、とんでもなく大きな器の持ち主だが、『こいつらを守れ』という命令に反した場合、『本気でキレ散らかす』と、ここに誓う。俺を本気で怒らせたらどうなるか、どうしても知りたいなら、こいつらの警護を軽く見てもいい。だが、あまりオススメはしない。本当にやめておいた方がいい」


「……」


 言葉の『程度』は、どこか、まだコミカルさを含んでいるものの、

 しかし、声音と表情には狂気がにじんでいた。


 『こいつは本物のサイコパスだ』と明確に認識できた。

 ガタノトーアは、センエースに恐怖する。

 戦闘力とか存在値とか、そんなチャチなものじゃ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗に触れたガタノトーア。


 そんなガタノトーアに、

 センは、ブラック会社の社長的な笑みを浮かべて、



「頼んだぞ、ガタノトーア」



 呪いのクサビを打ち込むように、

 ガタノトーアへ『命令』を刻み込む。


「……く、くそがぁ……」


 ――『眷属』には自我と意志がある。

 だからこそ得られるメリットは、ちょっとした『補正の高さ』。


 召喚獣と何が違うかと言うと、

 実際のところ、さほど差はない。


 特殊ステータス補正に、ちょっとした違いがあるだけ。

 召喚獣は従順な代わりに補正がちょっと低い。

 眷属は扱い辛い代わりに補正がちょっと高い。


 それだけの話。


 まあ、もちろん、眷属の場合、召喚獣と違い、『主人』のステータスや能力の一部を直通のリンクで受け継ぐとか、召喚獣よりも、『臨機応変さ』という点で少し自由だったり、などといった、細かい違いもあるにはあるが、『俯瞰(使役するという点)』で見た場合は、だいたい、どっちも同じ。



「さて、と」



 ガタノトーアへの命令コマンドを入力し終えた直後、

 センは、美少女たちに視線を向けて、



「お前らに命令。人数分の眷属が集まるまでは、常に、ガタノトーアの護衛が届く範囲にセットで固まっておけ。バラけて行動し、そのスキをつかれないよう、十分に注意しろ」



 たんたんと、命令を下すセン。

 『完全お仕事モード』に入っている時のセンは、 

 相手の『些細な機微』に配慮したりはしない。

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