63話 1、10、100、1000、10000。
63話 1、10、100、1000、10000。
完全回復したオメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトは、
複数の眼球を、一斉に、ギラっと光らせながら、
バっと飛翔して、センに対して威嚇を決め込んでいく。
「……ふ、復活……した……?」
「そのとおりだ、センエース。オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトは、一度倒して終わりという短絡的なモンスターではなく、とてつもなく厄介な、複数復活型のモンスター。規定回数倒しきらないかぎり、オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトは滅びぬ! 何度でも蘇(よみがえ)るさ。オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトこそ人類の夢だからだ」
「……こんなのが、人類の夢であってたまるか……人類の趣味嗜好、ド変態すぎるだろ……」
「つい、テンプレでゴチャつかせてしまったが、しかし、何度も復活するのは事実だ」
「……ちなみに、何度復活する? 『規定回数』ってのは、具体的にどのぐらいだ? まさか、10回とか言わないだろうな? 一体、倒すだけでも、ハンパなくキツかったんだ。大してレベルも上がっていない今、これを相手にできるのは、精々、あと、2~3回……いや、3回だって、かなりキツ――」
「一万回だ」
「……ぁ?」
「10回ではない、100回でもない、1000回ですらない……10000回、オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトは復活する」
「……いち……ま……」
「さて、センエース、どうする? 一体を倒すだけでも大変だったオメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトを、ここから1万体も倒さなければいけない」
オメガレベルに大きな上昇は見られない。
先ほど戦った時より、ほんの少しだけ殺しやすくはなっているが、
『53万』を相手にするのに、
100程度の上昇では、あまりにも心もとない。
倒す時間と労力に、さほど変化はない。
一体倒すのに、全身全霊を賭すことに変わりはない。
「地獄だな。どうする? これほどまでの地獄を前にしては、さすがに心が持たないであろう。気持ちは分かる。私も、似たような経験をしたことがある。あれは、むかしむかしのこと……私が16の時だった。真夏の日差しが照り付けて……いや、心地のいい春だったかもしれない。当時は私もワルでね。ぁ、いや、やっぱり冬だったかもしれない」
「――どうするって聞いたんなら、答えさせろよ!」
そう叫んでから、センは、
「……一個、質問だ、オメガシャドー」
「なにかな?」
「今、この空間……時間的にはどうなっている? 時間の流れは、外と同じか? それとも――」
「いったん、『精神〇時の部屋』をイメージしてもらいたい。イメージできたかな? ソレと同じと考えてくれて結構」
「……本当か?」
「別に嘘をついてはいないが、しかし、私の言葉をそのまま信用することもできないだろう。となれば、事実のみを受け入れた方が、精神安定的にも正解だと思うけれどね。事実として、君は、オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトを倒しきらない限り、ここからは出られない。となれば?」
「この空間が『精神〇時の部屋』化していないと、普通にマズい……ガチでそうなっていることを祈るしかない……か。ウゼェ状況だ。祈るしかないって閉塞状況は嫌いだ」
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