62話 微々たる進化。


 62話 微々たる進化。


「くそったれが……胸がザワザワする……その『なかなか死なねぇ』というウザさが、俺の深部をかきみだす……」


 体力と精神を削りに削りながら、

 どうにかこうにか、

 必死の抵抗を続け、

 ついに、



「いい加減に、死ね、ぼけぇええええええええええええええええ!」



 30発目の龍閃崩拳を叩き込んだところで、

 ようやく、オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトは、


「ギギ……ギ……」


 命つきたようで、

 ピクリとも動かなくなった。


「しゃああああああああ、おらぁああああああああああ! 勝ったぞ、ごら、ぼけぇええええ! やはり、俺が最強だった! 俺は美しい! 俺はモンスターではない、神だ! 強靭! 無敵! 最強! 粉砕! 玉砕! 大喝采!」


 とめどない歓喜を叫ぶセン。


「さんざん、手間かけさせやがって! しかし、これで、俺は、さらに、エグくなる! てめぇの魂魄を喰らい、俺は、俺を置き去りにした俺になる!」


 黒い笑みで、

 オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトの魂魄をむさぼりくらう。


 その結果、



 000000000000000000000000000



 《レベル》     【1】

 《オメガレベル》  【6000】


 [HP]      【59万/59万】

 [MP]      【33万/33万】

 [スタミナ]    【5600/5700】


 「攻撃力」       【12700】

 「魔法攻撃力」     【9980】

 「防御力」       【11200】

 「魔法防御力」     【7909】

 「敏捷性」       【6500】

 「耐性値」       【6300】

 「HP再生力」     【12050】

 「魔力回復力」     【17007】

 「スタミナ回復速度」  【3102】

 「反応速度」      【?】


 「隠しパラメータ合計値」【?】


 「獲得経験値」     【0】

 「ネクストEXP」   【無限】



 11111111111111111111111111111



「??! はぁっ?! ちょ、ちょっと待て! 大して強くなっていないぞ! どういうことだ?! あれだけの化け物の魂魄をくらっていながら……ほとんど成長を感じねぇ! どういう……」


 心境としては、ベジ〇トを吸収した時の魔〇ブウ。

 『劇的に強い相手』を『奪った』のだから、

 当然、強大なパワーアップがあるものと、

 大いに期待したものの、

 変化がほとんど見られないという不可思議。


 そんなセンの困惑に対し、

 オメガシャドーが答えをしめす。


「レベルという概念には『大きな壁』が存在するのだが、ほぼ同じものが、オメガレベルにも存在する。オメガレベル6000の壁……そこを超えるためには、さらなる革命を必要とする」


「……革命……」


「果たして、君は、その壁を超えられるかな?」


 などとつぶやいた直後。

 魂魄を抜き取られた『オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトの死体』が淡く発光しはじめた。


「ん……な、なんだ?」


 困惑しているセンをシカトして、

 オメガ真眼蟲賢王・ウルトラインセクトの死体がグニョグニョとうごめく。


 三秒ほど、キモくうごめいた直後、

 センの猛攻によって『損傷した箇所』が秒で回復していく。


 完全回復をはたすと、

 複数の眼球が、一斉に、ギラっと光った。


 と同時、バっと飛翔して、

 センに対して威嚇を決め込んでいく。



「……ふ、復活……した……?」

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