14話 基本的に、どうでもいい。


 14話 基本的に、どうでもいい。


「……カカロ〇トの場合、根源の思想はともかく、なんだかんだ、命をかけて、世界を守るでしょう? ソンキーは、世界に興味がありません。『質の高い経験値』を追い求めていたら、結果的に、悪を一掃していた……それだけの話です」


 さらに、黒木は、つらつらと、続けて、


「――『照れ隠し』や『偽悪』などではなく、ただただ、『そういう無機質な剣でしかない』……という、非常に人間味の薄いキャラクターなのです。とても、スーパーヒーローと呼べる器ではありません」


「……ふぅん、まあ、なんでもいいが」


「でしょうね。読んでもいない作品のキャラクターの詳細に対して強い興味を持つ方がおかしい」


 そう前を置いてから、


「とにかく、私は、ヒロインという概念に願望や憧れを抱くタイプではありません。『どうしようもないクズにはなりたくない』と思っておりますが、しかし、それと同じくらい、『品行方正な人間にはなりたくない』とも思っております。できれば、どうか、その辺をお忘れなく」


 強い目で、釘をさすように、

 そんな言葉をぶつけてきた黒木に対し、

 センは、酷く冷めた目で、


「……あ、そう、まあ、どうでもいいけどな。お前の作品にも、お前自身にも、さほど興味はないから」


 と、バッサリ切り捨てる。

 『ゴリゴリの本音』だから、切れ味もするどい。

 とはいえ、黒木も、別に、

 『センに対する異性的な意味での興味』はないので、

 特に傷ついたりすることはない。


 ただ『単純な疑問』は浮かぶゆえ、


「……では、なぜ、呼び出されたのでしょうか?」


 そう尋ねると、

 センは、


「きわめて単純な話だ」


 そこで、コホンと、セキを一つはさんでから、



「僕と契約して、ダウジングマシンになってよ」




 ★




 ――そこから先は、既定の流れ。

 実のところ、『カズナがいないことによるデメリット』を解消するすべは、

 最初のループの時から、ずっと考えていたので、

 特に問題なく、すべての事項を処理することが出来た。


(いてくれた方が、いろいろと助かるのは事実だが……壊れたカズナを抱えてやっていく心労を考えると、今みたいに、『多少の手間が増えるだけ』の方がマシ……)


 心の中でつぶやきつつ、

 センは、黒木というダウジングマシンと共に、

 夜の学校を練り歩く。


 これまでの100ループ同様、

 たまにアイテムを発見し、

 それを惜しみなく、図虚空にブチ込んでいく、

 それだけの簡単なお仕事。


 ここまでくると、もはや、アイテムを発見しても、

 まったく感情が動かなくなった。


 『結構なレアアイテム』なら、

 さすがに、『おっ』ぐらいは思うが、

 しかし、『それ以上の衝動』には届かない。



「ん……」



 五時間ほど、校内を歩き回り、

 軽くダレてきたタイミングで、

 黒木が、ピタと足を止めた。


「黒木、どうした?」


 センが、問いかけると、

 黒木は、軽く首をかしげて、


「奇妙な反応をキャッチしました……これは……なんでしょうか……『ダンジョンの反応』……だとは思うのですが……少し違うような……」


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