10話 ファイナルアンサー?
10話 ファイナルアンサー?
「君たち人類の知性では理解できないだろうけど、特別に教えてあげるよ。実はねぇ……マイナスにマイナスをかけると……プラスになるんだよ!」
「まあ、確かに、その部分に関しては、実際のところ、大して理解できていないが……」
と、軽く流していくセンに、
ニャルは続けて、
「特別に、もう一つだけ、数学的真理を教えてあげよう。なんと、円周率の最後の数字は……4なんだよ!」
「……そうですか……」
「ちなみに、今の僕のセリフは、かなりの伏線だよぉ。どのぐらい大きな意味を持つ伏線かというと……」
「というと?」
「実は…………」
「謎にタメんなよ、鬱陶しい」
「ファイナルアンサー?」
「答えるのは俺じゃねぇ、お前だ」
そこからさらに数秒ほど、無駄に溜めたのちに、
ニャルは、カっと目を見開いて、
「――『シュタイ〇ズゲートと同じぐらいの意味』だよ!」
「特に意味はねぇじゃねぇか!」
最後に、そう叫ぶと、
センは、深いタメ息をついてから、
続けて、
「……お前と話していても時間の無駄だということがよくわかった。というわけで、俺は、もういくぞ……アイテム探しまくって、図虚空を強化しないといけないからな」
そう言って、踵を返しつつ、
心の中で、
(……クトゥルフ・オメガバスティオン――『オメガ』を倒さない限り、この地獄は終わらない……思ったよりもシンプルな展開で助かったが……しかし、目標の強さが、あまりにも高みにありすぎる……これ、下手したら、1000回ループしても、無理なんじゃ……)
などと、つぶやいていると、
その背中に、ニャルが、
「あれ? もう願いごとはないのかい?」
などと、言葉を投げかけてきた。
センは、ピタリと足をとめて、
「……え? まだ、願いを叶えてくれるの?」
「今の僕は、ちょうど、ヒマしているからね。軽くみられるのはムカツクから、『なんでもかんでも』は叶えてあげないけど……『本当に叶えてほしい願い』があるなら、内容しだいでは、『降水確率30%』ぐらいの割合で、叶えてあげなくもないから、試しに言ってみるといいんじゃないかな」
「……雨の30%って、『傘をもっていくかどうか』を一番悩む、『もっとも微妙なライン』じゃねぇか……」
などと、軽く切り込んでから、
「……」
センは、コンマ数秒の間をおくと、
うかがうような声音で、
「じゃあ……久剣カズナを、このループから解放してやってくれ」
と、真摯な質問をすると、
ニャルは、即答で、
「それはムリだね」
と、バッサリ切り捨てた。
「……なんだよ、ちくしょう……じゃあ、いいよ。今のところ、他に叶えたい願いなんてない」
と、センが、『まあまあ普通に不機嫌』になりながらそう言うと、
ニャルは、いつも以上に、ニタァっと黒く笑って、
「すでに、久剣カズナは、ループから解放されている。解放されている者を、もう一度解放することはできない。どういう状態にしたらいいか分からないからね」
「……え……」
普通に衝撃が過ぎて、処理落ちしているセン。
「……解放……された……え、ほんとに? え、なんで……」
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