77話 『デスノ○トのリュ○ク的な心境』

 77話 『デスノ○トのリュ○ク的な心境』


「そこは大した問題ではない。スルーしておいてくれ。それよりも、聞かなければいけない問題があるだろう? 私は、君たちに殺された神格の双子だぞ?」


「……兄弟の復讐にきた……みたいな感じ?」


「そう、その質問が欲しかった。――最初に言っておくが、私にとって、ロイガーは、双子の片割れではあるものの……それ以上の何かではない。双子という記号を有する片割れ。それ以上でもそれ以下でもない。ゆえに、正直、どうでもいい相手。なれば、すなわち、復讐心などあるはずもなし」


「……じゃあ、何をしに、ここに?」


「君を殺しにきた。理由は言えない。正確に言うと知らない。『君を殺さなければいけない理由』は、私にとって、『ロイガーの存在』と同じくらい、どうでもいいこと」


「……」


「ちなみに言っておくと、アッサリとは殺さない。徹底的に絶望を植え付けてから殺す。この点に関しては、別に『そうでなければいけない』というわけではない。私の趣味だ。生き物を殺すときは、全力で楽しんでから殺すのが私のモットー。狩人の本能とでも言っておこうかな」


 たんたんと、『自己』を語りながら、

 ツァールは、


「君にも理解できるように言おうか? 『退屈な授業中に、たまたま捕まえた昆虫を、暇つぶしに、ゆっくりと解体する』……そんな感じだ。ようするに、ヒマなのだよ。最上位の神ともなれば、色々と、『重責を伴う仕事』もあるのだろうが、私のようなハンパな神格はやることがないので、とにかくヒマだ。ここも、君にわかりやすく言うと……『デスノ○トのリュ○ク的な心境』……といった感じだ。理解できたかね?」


「……ええ、理解できたわ。どうして、そんなに、サブカル通なのかという疑問は残ったけれど、おおむねは理解した」


「君と効率的に会話が出来るように、いくつか、専用の情報をインストールされたのだよ。ゆえに、私は、君と、滞りなく意思疎通ができる。事象の効率化を求めた時、意思の疎通が快適か否かは非常に重要な点。もっとも、私は、『なぜ現状を効率的に進めなければいけないのか』という、根本に対する理解が欠如しているのだが……まあ、別にかまわないさ。それもまた、私にとっては、どうでもいいこと」


 などと言いながら、

 ツァールは、ゆったりと両手を広げて、


「さあ、それでは、はじめようか……命の暇つぶしを……」


 明確な殺意を感じとると同時、

 紅院は、


「……トランスフォーム。モード・GOO/レベル2」


 宣言した瞬間、紅院の体は、真っ赤な闘気を放つ龍化外骨格に包まれる。

 続けて、刀身が燃えている巨大な両手剣『フレイムブレイド改』を召喚し、


「暇つぶしで殺されてたまるか」


 闘気をむき出しにして、

 紅院は、ツァールに切りかかる。



「アサルトスキルON! ソニックスイング!」



 斬撃速度と基礎火力を底上げするスキル。

 紅院の基本的な一連。


 それを受けて、ツァールは、


「そのぐらいの魔法は、無詠唱で使わないと、みっともないぞ」


 ニタニタと笑いながらそう言うと、

 清廉された簡素な動きで、

 紅院の連続斬撃を、紙一重でよけていく。


「そんなにゆっくりと攻撃されるとアクビが出てしまう。もっと、全力できてくれないかね?」

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