42話 そこらのカスとはレベルが違う鋼の覚悟。

 42話 そこらのカスとはレベルが違う鋼の覚悟。


「……そうなると、逆に『永遠に終わらなそうな豪胆さ』を感じるな……」


 などと、言葉を並べつつ、

 心の中では、


(俺のことを知っているだけではなく、第一アルファのゲームタイトルまで知っているのか……こいつは、どう考えても、ただのコスモゾーン・レリックじゃないな)


 警戒心が増していく。

 オメガは、あまりにも不気味な男。


 何よりも不気味なのは、

 『根底にある雰囲気』が自分と酷似しているということ。


(……こいつからは『重厚な覚悟』を感じる……『信念のためなら何でもしてみせる』という鋼の覚悟……)


 目を見れば分かる。

 そこらのカスとはレベルが違う。


 存在値がどうとか、

 魔力やオーラの資質がどうとか、

 そんなことじゃない。


 ――オメガは、『魂の格』が違う。


(不遜な言い方だが……こいつの『胆』は、俺に匹敵している気がする……)


 もし、オメガが、

 本当に『センエースと同等クラスの精神力』を持つ異常者だったとしたら、

 確実に、

 『最悪の泥仕合』になる。


 その理解に到ったことで、

 センは、とびきりの苦い顔をする。


(……あの三人が『扉の向こうでどうなっているか一ミリもわからない現状』で、このアホと、ゆっくり遊んでいるヒマはねぇ……)


 『さっさと救いにいきたい』。

 それが、現状の最重要項目。

 というか、それ以外は全て二の次。


(――『こいつを殺せば取り戻せる』……というのであれば、迷わずブチ殺すが、『こいつを殺すことで、あの三人に被害が及ぶ』というナメくさったワナが仕掛けられている可能性もある……うぜぇ……)


 センが『どうしたものか』と、

 『次の手』に悩んでいると、


 そこで、

 オメガが、


「色々と悩んでいるお前に、優しい俺が、重要情報をくれてやろう。――最後のアリア・ギアスが発動している間、虚空のアリア・ギアスは鳴りを潜める。完全に効果が消失するワケじゃないが、拘束力は大幅に薄くなる」


 と、爆弾発言をかましてきた。


 センは、慎重に、


「ってことは……つまり……」


「ああ、そういうことだ、センエース」


 そう言うと、

 オメガは、

 胸の前で手を合わせて、


「――神化――」


 そうつぶやくと同時、

 荘厳な光がオメガを昇華させる。


 一気に膨れ上がる。

 存在値1000の壁を大胆に超えていく。

 膨大な異次元の数値に包まれるオメガ。


「今、この時だけ……俺たちは、本来の翼で飛べる」


 神の領域に至ったオメガは、

 ゆったりと、

 貫禄のある武を構えて、




「本気でいくから、本気でこい。センエース」




 そう言いながら、

 クイクイっと、手招きをする。


 そんな『上から降り注ぐ言葉』に対し、

 センは、普通にイラっとした顔で、


「……本気を出すかどうかは『本気を出すに値するかどうか』を見極めた後で、俺が決める」


 若干奪われかけている『主導権』を取り戻そうと、

 重厚感のある言葉を投げかけるものの、

 しかし、

 オメガは、そんなセンの言葉を、サラっとかわす。


「ヘタに様子をうかがったりせず、最初から、本気を出したほうがいい。言っておくが、俺は、お前の1000倍強い」


「ほう。そいつはすげぇ。ぶっちゃけ、ドン引きだぜ。いくらなんでもむちゃくちゃだ」


 と、一度、どうでもいい言葉を並べてから、

 『とびっきりの本音』をそろえていく。


「……まあ、仮に、それが事実だったとしても、俺は、『今の俺』の1001倍強くなって、お前を殺すだけだがな」

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