42話 仮面神獣フィロジュラのウザさ。

 42話 仮面神獣フィロジュラのウザさ。


「ちなみに、こいつがフィロジュラの能力だ。確認しな」



 そう言いながら、ナイアが指を鳴らすと、

 セイバーリッチの目の前に、エアウィンドウ形式で、フィロジュラのステータスが表示される。




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 『仮面神獣フィロジュラ』


 《RCL》    【219兆】


 [HP]     【1/1】

 [MP]     【0/0】


 「攻撃力」    【0】

 「魔法攻撃力」  【0】

 「防御力」    【超々々々膨大】

 「魔法防御力」  【超々々々膨大】

 「敏捷性」    【0】

 「耐性値」    【超々々々々々々膨大】


 スペシャル『3分間待ってやる(召喚されてから65秒以内に、フィロジュラか召喚者が倒されなかった場合、敵は死ぬ)』

      『フィロジュラの守り(9兆9999億9999以下のダメージを無効)』

      『死面(死に際に、混沌の仮面を遺す)』

      『フィロジュラはわらっている(行動不能)』

      『カオスバリア(無属性・貫通属性に対する強力な耐性を持つ)』


 召喚条件『ご覧の通りの面倒くささ』


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 フィロジュラのデータを確認したセイバーリッチは、

 渋い顔で、


「……この『死面』っていうのは『君のシステムを強化する仮面を遺す』……という解釈でいいのかな?」


「ああ、そのとおり。65秒以内に、俺かフィロジュラを倒さないと、お前は死ぬ。『フィロジュラだけを倒した状態』の場合、俺のパーフェクトエグゾギアが超絶強化される。そういう『どっちに転んでもいいよね』という、お得モンスターだ」


「わー、鬱陶しい♪」


 言いながら、セイバーリッチは、

 全身にオーラを充満させて、


「……さすがに、一分ちょっとで、君の膨大なHPを削り切るのは不可能だね♪ となると、フィロジュラを倒して、君の強化を手伝うしかない……っと♪ 厄介、厄介ぃ♪」


 そう言ってから、

 一度息を吐いて、吸って、




「――亜零神砲――」




 相手の体制値に対いてダイレクトアタックを決める魔法『零神砲』。

 そんな零神砲のクリティカル技『亜零神砲』に打ち抜かれて、



「ぴぎぃいいい!」



 フィロジュラの膨大な体制値は一気に削れ、

 その流れのまま、


「――亜異次元砲――」


 異次元砲のクリティカルをモロにくらい、

 フィロジュラは消滅した。


 召喚されるまでは非常に長尺だったが、

 倒されるのは一瞬だった。



 ――しかし、それで問題ない。

 フィロジュラの真価は戦闘能力ではなく、

 『遺された仮面』の方にある。


 ナイアは、フィロジュラが残した仮面を装着すると、



「これで完成。これこそが、現状における俺という概念の最適解。仮面神獣パーフェクト・ラージャン・エグゾギア。……どうだ? 感じるか? 感じるだろう? 俺の力……最果ての狂気……」



 フィロジュラの死面を装着したことで、

 ナイアのエグゾギアは一気に強化された。

 火力を中心に、耐性値も防御力も、すべてが底上げされ、

 機体制御力も大幅にパワーアップ。


 エグゾギアの真の力を発揮した――と言っても過言ではない、まさしく、パーフェクトな状態。


「うん。すごく大きいね♪ さすが、さすがぁ♪」


 言いつつ、武を構えるセイバーリッチ。

 口調ほど余裕はない。

 というより、最初からずっと、別に余裕があるわけではない。

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