『ゲン・フォース』VS『ギルティ・ブラッドのルス』
『ゲン・フォース』VS『ギルティ・ブラッドのルス』
(ほう……あのガキ、虹気がつかえるのか。珍しいな)
虹気がつかえる者の割合は、10万人に一人程度と、かなりのレア。
ただ、クオリティが低い場合、大した恩恵は得られないため、
(ガキ……お前は、どっちかな……)
はかるような目になってしまう。
(使えるレアか、使えないレアか……)
少し興味が出てきたのか、
ヒジカは、前線から少し下がる。
ヒジカの考えを察したのか、
オキも、
(局長の息子……局長は、あの子のことを天才と言っていたが……それは、ただの親バカか、それとも……)
剣をおさめて、ゲンの観察を開始した。
ヒジカとオキが距離をとったのを横目に確認した変態――ギルティブラッドのルスは、
「ははは! なになに、この空気! んー? もしかして、この俺を『お子様の訓練』に使おうとか考えている?! げははははは! 面白いねぇ! 非常にナイスでクールなグッドアイディア!」
ラリった目で、天を仰ぎ、
「けど、残念!!」
そう言った直後、
ルスは、空間を駆け抜けて、
いっさい迷わずに、
ゲンとの距離をつめ、
ゲンの頭部をつかみ、
そのまま!
――ブチィッ!!
と、地面に向かってたたきつけた。
砕けた骨が弾け、血しぶきが舞う。
「子供のお遊戯に付き合ってやるほど、俺の保育士適正は高くないんだなぁ!」
子供の死に触れた感触で全身がゾクゾク。
強い者と戦うのも楽しいが、
弱い命を踏みにじるのも楽しい。
「命って楽しい!」
いつまでも、どこまでもラリっているルス。
快感に浸っていたが、
しかし、
その途中で気づく。
背後の気配。
圧力。
「っ?!」
「――ゲン・ワンダフォ――」
一気に膨れ上がった圧力。
凝縮されたオーラの爆発。
「うぉおおっ!!」
腰のど真ん中に向けて放たれた、
渾身の正拳突き!
ゲンは、ルスの背中をバキバキにへし折るつもりで殴りつけたのだが、
「……か、かってぇ……」
ルスは、さほどダメージを受けている様子はない。
『驚いた声』をあげただけで、
痛みはほとんど感じていない様子。
ルスは、自分の背後にいるゲンを見下ろしながら、
ニィっと微笑み、
「ほー、ほー、へー……分身だったのかぁ! どうりで潰した時の感触が『なんかちょっと軽いなぁ』と思ったはずだぁ! 『ガキだからか』と思ったら、そっちだったかぁ! げははは!」
愉快そうに笑ってから、
「いやはや、それにしても、今の拳……なかなか良かったねぇ! もちろん、まだガキだから、軽すぎて、まったくダメージにはならんのだけど……なんだろうなぁ……」
少しだけ真剣な表情で、
「熟練度は決して高くないし、まだまだ威力も足りていないんだけど……そう……原石感がすごかった! 磨けば光る空気感をビンビン感じた!」
楽しそうに、
嬉しそうに、
「まだ少し時間があるなぁ! よーし、興が乗ったことだし、ここから、ほんの少しだけ、お遊戯に付き合ってあげよう! さ、君の全力を見せてみてぇ! さあ、カモンッ!」
両手を広げて、そう叫ぶルス。
そんな、ルスのナメた態度を受けて、
ゲンは、
心底から、
(受け止めてくれるのか……ありがたいね……マジで!!)
感謝した。
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