異質のラインナップ。

異質のラインナップ。


「……なに笑てんねん。こっちは真剣にやっとんねん」


 ニヤついているスライムに、

 意味のない文句をつぶやいてから、


「最後に、柏手を二回……」


 胸の前で、パンパンと手を鳴らす。


「確か、これで、スマホに闇市が出現するはずなんだけど……」


 確認してみると、

 スマホの隅に、黒いアイコンが出現していた。


「よっしゃ。成功! よかった! これで、なにもおこらなかったら、目もあてられなかった!」


 ・所有している道具の14番目でセレクト2回。

 ・直後、モンスターとエンカウントして逃走。

 ・バーピー3回。

 ・柏手2回。

 ――以上のややこしい手順を踏まえることで、

 スマホに、闇市が出現するという奇妙かつ珍妙な裏技。


 ゲンは、さっそく闇市を起動させる。


「さてさて、売られているモノも一緒かなぁ……」


 ワクワクしながらメニューを確認してみると、


「……ふぁ?! な、なんだ、この値段?!」


 WEB小説で見たメニューとはだいぶ異なり、

 しかも、値段がハンパではなく高額なものばかり。


「……ど、どれも『億超え』ばっか……」


 ちなみに、どのようなものがメニューに表示されているかというと、


 『一度だけ使える99%割引券』              1億円(一回のみ)。

 『ラムド王デュエルクエストモンスターズ』         100億円

 『P型ウィトゲンシュタインのアトリエ』          350億円

 『リング・オブ・闇色天国』                500億円。

 『エニグマ・ミーティアの永久(一日10回)魔カード』   1000億円。

 『キノキの棒・ソルカスタム』               5000億円。

 『覇天虹玉の天輪・ソルカスタム』             2兆円。

 『毘沙門天の剣翼・ソルカスタム』             2兆円。

 『朧月華の長羽織・ソルカスタム』             2兆円。

 『リング・オブ・ウルティマ・ギアス』           10兆円。

 『リング・オブ・ディアブロ・コミュニティ』        10兆円。

 『リング・オブ・ラッキー・ニルヴァーナ』         10兆円。

 『パーフェクトラージャン・エグゾギア‐システム/コア』  17兆円。

 『聖なる死神セイバーリッチ(アンリミテッドバージョン)』 30兆円。



 ほかにも無数の商品が並んでおり、

 どれも、えげつない金額だが、

 肝心の『どのようなアイテムなのか』についての詳細はゼロ。


「商品の数が豊富なのはいいんだけど……どれもこれも、価格設定、いかれすぎだろ。つぅか、どういう効果なのかぐらいは記載しておけよ。いろいろと、頭おかしすぎるぞ。もちろん、今の俺に、こんな大金はないんだけど……仮に金があったとしても、どんな効果なのか不明なアイテムに数億だの数兆だの、出せるわけねぇぞ……」


 ため息交じりに、

 頭をかきながら、


「名前みるだけでも、なんとなく凄そうだとはわかるんだが……それだけで踏み込める金額じゃねぇ……つぅか、俺の小遣い、月100円だぞ……永遠に買えるわけがねぇ……もちろん、俺の月収が一生100円なわけじゃないんだが……仮に、そこそこの会社で働き始めたとしても、まともにやっていたら、こんな額は到底稼げねぇ」


 この世界の平均生涯賃金は1億ちょっと。

 相当な金持ちでも10億~20億ぐらい。

 それが、一般市民の限界。


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