ゼノリカ史上最高の資質を持つ天才。

ゼノリカ史上最高の資質を持つ天才。


 亜門(あもん)は、神族に限りなく近い超人。

 まだ10歳でありながら、その存在値は、すでに『350』を超えている。


 『武』における潜在能力は『ジャミに匹敵する』とまで言われている、

 正真正銘の突然変異――つまりは超天才。


 ※ 実際のところ『現在のアモン』と『10歳時のジャミ』はほぼ同等。

   ただ、しかし、ジャミの場合は、その破格の戦闘能力にくわえ、

   人格も容姿も抜群に優れており、

   かつ、『アンリミテッド・ヴェホマ・ワークス』という、

   イカれたチートまで有している突然変異中の突然変異。

   正直な話、くらべものにはならず、

   そのため、アモンは裏で、

   『ジャミの劣化版・下位互換』と呼ばれている。

   ただ、アモンは、そのことを『カス共のひがみ』としかとらえておらず、

   『自分はジャミを超える最高の天才である』というプライドを胸に秘め、

   『ジャミを超える高み』を目指して日夜邁進している。

   自信過剰でクソ生意気で鼻につくガキだが、積んできた努力は本物。



「ぐふ……ごほっ……ぺっ」



 ゴミスは、血の混じったタンを吐いて、

 右腕で口元をぬぐうと、

 キっと、アモンをにらみつけ、



「……み、見た目に騙されたな。なるほど、ガキの姿は擬態か。見事に油断させられた。なかなか狡猾な手をつかう。それだけの強さを誇っていながら、敵の警戒心を緩ませる慎重さも忘れないとは……敬服に値する。てめぇは強い」



(擬態ぃ? ……はぁ……)



 ぽりぽりと頭を掻きながら、

 アモンはため息まじりに、


(まあ、どう思おうと勝手だけどさぁ……なんで、みんな、その手の勘違いをするのかなぁ。ムカつくわぁ)


 ダルそうに、心の中で、そうつぶやいた。

 アモンほどの早熟な天才はそうそういないので、

 アモンの驚異的な強さを目の当たりにした者は、大概、一度は『擬態』を疑う。


 『子供の姿で油断を誘う作戦だ』と疑われるのは、アモンにとって、あまり気分のいいものではない。

 『ちゃんと、僕の、超天才ぶりを直視して驚けよ』というのがアモンの本音。

 ようするには、まだまだガキってだけの話。


 ――そんなアモンに対し、

 ゴミスは、静かにオーラを高めながら、


「察するに……お前がゼノリカ教のトップだな?」


 その問いかけを受けて、

 アモンは、


「ふふん。よくわかったね。なかなかの慧眼。感嘆に値する」


 得意げな顔の上機嫌で、


「まさに、そのとおり! 僕こそが、ゼノリカ史上最高の資質を持つ超人。いずれジャミ猊下を超えて、九華十傑の第一席に名を連ねることが『ほとんど確定している』と言っても過言ではない究極破格の超天才」


 アモンの回答を受けて、

 ゴミスは頭の中で、


(ジャミをこえる……その発言の真意はどこにある……ジャミというのが、こいつより上位の強者ということか? いや、そんなわけがない……)


 たった一発くらっただけだが、

 しかし、これまで、山ほど修羅場をこえてきたゴミスにはわかる。



(このガキの姿に擬態している男……アモンは、ハンパではない超人……この男以上の強者など、そうそういるわけがない)


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