ボクはまだ、あなたの前に立っている。
ボクはまだ、あなたの前に立っている。
「ずっと、ずっと、ずっと……師は……ボクらを守ってくれた……」
重たい涙がこぼれた。
自分の弱さに対する悔し涙でもあるが、
それ以上に、
『丁寧な形』で『伝えたい想い』があふれたから。
だから――
「どんなに苦しくても……誰もが諦めても……誰一人味方になってくれる者がいなくても……」
平熱マンの中に刻まれている『師の軌跡』が膨れ上がる。
誰もマネすることはできない神の奇跡。
「誰よりも重たい絶望を御独りで背負われて……だから、一番つらいのはいつだって自分だったのに……それなのに、いつも、ボクらの『助けてくれ』って叫びを飲み込んで……『ボクらの弱さ』を受け止めてくれた……ずっと……ずっと……」
それ以上に、
「苦しくて、辛くて、暗くて、恐くて……だから、もう一歩も動けなくて……それでも……師は……」
平熱マンの『魂魄の最奥』で、
『センエース』という結晶が、
強く、強く、輝く。
「誰もが明日を諦めて……終わりのない暗闇に沈みそうになって……そんな地獄の底で、誰よりもズタズタになりながら、それでも……いつだって、『弱いボクら』のかわりに『なにより重たい絶望』を背負ってくれた……ずっと、ずっと、ずっと、ボクらの盾になってくれた、その大きな背中……」
平熱マンは、奥歯をかみしめて、
「……絶対についていく……」
キっと、瞳に魂をこめて、
「ボクは平熱マン! 『この上なく尊い背中』を追い続けてきた一振りの刃! 大いなる師に従事する光! すべての闇を裂く剣!!」
覚悟を叫んだ。
『ずっと追い続けてきた大きな背中』は、いつも遥か先にあって、
到底、追いつけるとは思えなかった。
けれど、平熱マンは、これまでずっと、神の背中を追い続けてきた。
どんなに離れてしまっても『絶対に追いつけない距離』になっても、
けれど、『この想い』だけは、常に神の傍(そば)に在ると信じていたから。
「師よ、あなた様は果て無くお強い! そのあなた様を煩わせる敵もおそらくは、相当に大きい! しかし、ここは存在値1000が限界の世界! ならば、これまでとは違い、ボクも力になれる! 『力足らず』は『これまで』と変わらずとも、何もできないわけではない! たったの一撃だけでもいい! 師の傷を減らせるのであれば! ボクは、その一撃を阻む盾になることを望む!」
「しつこいやっちゃなぁ。やらなくていいし、それすら出来ないと言っているんだ。それを、今、証明したところで――」
「――まだボクは! あなた様の前に立っている!!」
「……敵が『死ぬほど手加減』してくれたら、そりゃ、まあ、立っていられるだろうぜ」
「敵の、本気の一撃でも、絶対に、一撃は耐えてみせます! 死ぬにしても、必ず!!」
「お前じゃ無理……ていうか、そもそも『死ぬな』って言っているんだよ……はぁ。ほんと、なんなんだよ、この無限ループ……ほんとにもういい……」
そこで、深いため息をつくと、
センエースは、
「じゃあ、こうしようぜ。ここから俺は、『手抜かりなく手を抜いて戦う』から、そんな俺に『かすり傷の一つ』でもつけられたら、お前の勝ち。お前が勝ったら『お前のいう事』を黙って聞いてやる。ただし、『何をしても俺には勝てない』と諦めたら、お前の負け。黙って俺のいう事を聞け」
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