最大の切り札。
最大の切り札。
「ほう、まだ何かあるのか。なら、魅せてみろよ。どんな覚醒技か知らんが、なにをしようと、この差を覆すことは――」
「ああ、違う、違う。覚醒技とかではない」
「……では、なんだ」
「簡単に言うと、戦術。最初から通しての、一本通った戦術が、俺の最大の切り札」
「……何を言って……」
「具体的な切り札の名前は『カオスインフィニッター・フルバースト』。正確には『黒子のカオスインフィニッター・フルバースト』かな」
「……どういう意味だ……貴様程度のオーラでは、フルバーストさせたところで……」
「そう。『俺一人の力を込めただけ』だと厳しい。もっとたくさんの力が必要だ。そして、タメ時間も必要だな。この作戦で大事なのは、囮役。足止め役、引き付け役の仕事が重要だ。もっとも出力の高い『最強の火力要員』を『相手の意識から消す』という難しい仕事。だが、俺ならできた。出来ると確信していた。そして、実際に実行してみせた」
そこまで言われたら、
さすがに、アホのP型センキー・ゼロオーダーでも気づく。
感知力を限界まで上昇させると、
上空に、『超高度なフェイクオーラ』で身を隠して『芋スナ』している『強大な気配』を感じて、
だから、
「……っっ」
バっと見上げると、
かなり上空で、ゴートが、アホみたいに巨大なカオスインフィニッターを構えていて、
そのドデカい銃口を、P型センキー・ゼロオーダーに向けて精神統一していた。
1000の超上位天使からバフられて、
かつ、実は、
テンドウクスオからもひそかに『バフ』を受けて、
極大に膨れ上がっている究極超固定砲台状態のゴート。
すべては、この一手を確実にぶちあてるための策。
言動も行動も、すべてがワナ。
『最強の戦力』を『空気』にして、相手の意識から消すという奇策。
戦闘力や統率力なら、クスオの方がはるかに上だが、
出力で言えば、
EXレベル99兆という最果てにあるゴートのほうが上。
そんな極大の脅威であるゴートを、敵の意識から消すという荒業。
誰でも出来ることではない。
テンドウクスオだからできた。
だから、
――吼(ほ)えろ、カオスインフィニッター・フルバースト――
「しまっ――」
――気づいたときにはもう『完璧』に遅かった。
すでに、発射されていて、
そのイカれた咆哮だけが耳をつく。
「ぎぃぃぃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
すでに『ばけのかわ』を失ったP型センキー・ゼロオーダーに、耐える手段は皆無。
圧倒的な暴力によって、
P型センキー・ゼロオーダーは、細胞一つ残さず、
――完全に消滅してしまった。
圧倒的な火力。
絶対に耐えきれない絶望。
あっさりと、外殻を失ってしまったP型センキー・ゼロオーダー。
黒子に徹し、
空気に徹し、
すべての助力を最大限にいかし、
ゴート・ラムド・セノワールは、
P型センキー・ゼロオーダーに引導を渡したのだった。
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