ヒーロー見参! ヒーロー見参! ノーカン! ノーカン!

ヒーロー見参! ヒーロー見参! ノーカン! ノーカン!


「ピンチだっつってんだろ……さっさと輝け……センエース!!」

「ん? なんだ? 俺に言ってたのか?」

「なわけ……ねぇだろぉが、ぼげぇ……」


 巻き舌でそう言いながら、

 P型センキーは、


「こいよぉお! もう、マジで次は耐えられない! だから! はやく!」


 自分の心臓を殴りつけながら、


「ヒーロー見参! ヒーロー見参! ヒーロー見参!! 聞いてんのか、こらぁ! これ言えばオールOKなんだろ! さっさと開け、ヒーロー見参!」


 などと喚いているP型センキーを、

 センエースは、酷く白い目で見ながら、


「……なんつぅか、不愉快きわまりねぇなぁ」


 マジで普通にイラっとした顔でそう言ってから、

 両手に、膨大化させたエネルギーの塊を集中させて、


「顕現……【エギルディザスター・フルパレードゼタキャノン】……」


 宣言と同時、金属が高速回転しているような音が響いた。

 その直後――


 ガチャガチャガチャッッ!!


 両手に一丁ずつ、巨大な銃が現れた。

 脈打つ、メタリックな銃身。

 センエースの体躯の三倍はある大口径の超強大な魔双銃。

 その凶悪な二つの銃口を、

 迷わず、P型センキーに向ける。


「そのズタボロのオーバーヒート状態じゃあ、ゼタは回避できねぇ。完璧なチェックメイト。絶対に耐えきれない火力で圧殺してやる……3……2……」


「ひ、ひひ、開けぇえ! 開いてくれぇえ! こ、この状態で、エギ積みのゼタは無理だ! 100パー耐えられない!」


 『災厄』は『残り体力が少ない者』に対してより大きな倍率がかかる属性。

 『拮抗した神々の闘い』は、凶悪に大量なHPをチマチマと削り合う超長期泥沼戦になるケースがほとんどなので、終盤の『寄せ』では必須となる属性。


「オメガバスティオンも、『通常の精神状態』じゃ、1000パー失敗する! ようするに死ぬ! だから、頼む、開いてくれ! こんな、何もできない状態で死んだら! 意味が――」



「1……」



 ――砲身が輝きだす。

 悲鳴のような駆動音。

 エネルギーが一点に収束していく。


 そして、ついには、極限まで高められた『暴力』が解放される。



「0……食らい尽くせ」



 主の命令に従い、

 エギルディザスター・フルパレードゼタキャノンは、

 狂ったように唸り、

 ――勢いよく咆哮。


 豪速のエネルギー弾が、

 一切の容赦なく、P型センキーを襲う。


 極太の照射。

 大気が鳴動する。

 空間が歪んで、バチバチと黒い電磁放射が舞う。



 その絶対的な絶望が、

 P型センキーをさらっていこうとした、

 その直前で、


 ――また、あの圧縮が起こった。



「きっ! きたきたぁ! おせぇんだよ、くそったれ!」



 圧縮された時間の中で、

 P型センキーは、



「ここまでギリギリにならないと、その気にならないとは……はっ、本当に、ワガママで厄介で鬱陶しいエンジンだぜ! だが! 最高だ!」



 そう叫び、

 そして、



「さあ、届け! 最果ての世界! 俺の全部で! あそこへ!!」


 魂に喝を入れて、

 心を沸騰させて、

 だから!






           |

           :

         〈* *〉

        [*****]

    [* * * * * * *」

「――/\**【【究極超神化7】】**/\――」

    [* * * * * * *]

        [*****]

         〈* *〉

           :

           |






 静寂の中、尊い輝きに包まれているP型センキー。

 背負っているのは、アストラル神字が浮かぶ後光輪。

 黒銀の結晶がちりばめられた、絶烈な究極超神気。

 荘厳な煌めきを圧縮させたような、どこまでも静かなオーラ。



限界をブチ切って、

 いと美しく、咲き誇るP型センキー。



 その尊き耀きを原動力として、

 P型センキーは、厳かに、


「マキシマイズ・ドリームオーラ・グロリアス」


 超性能のバリアを張り巡らせて、

 エギルディザスター・フルパレードゼタキャノンの咆哮をかき消した。


 その一連を目の当たりにしたセンエースは、

 ボソっと、


「……ちっ……本当に究極超神化7を使ってきやがった……気分わるぅ」



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