だいたいのコツはつかんだ。

だいたいのコツはつかんだ。


「俺はいったい、何をしたんだ? 俺には絶対に分からないが、お前なら分かる可能性があるから、少し考えてみてくれ」


「お前、今、自分が言った事を、一度、文章にしてみろよ。そうすれば、自分の発言がいかにバグっているか理解できるはずだから」


「センエースという存在がいかにバグっているかなら、わざわざ文章にしなくとも理解できている……まったく、ふざけた話だよ……センエースって珍種は、頭のてっぺんから、つま先にかけて、余す事なく、完全にラリっている」


 そう言ってから、

 P型センエース2号は、


「すぅう……はぁあ……」


 ゆっくりと呼吸を整えて、


「……(超極小)とはいえ、センエースと認められただけの事はあるってことなんだろうな……使えないゴミだった事に違いはないが、しかし、ただのゴミではなかった」


「いい加減、電波発言をやめてくれませんかね。マジで、お前が言っている事は、一から十までさっぱり分からない」


「そんなに悩むような話じゃないさ。コトは、極めて単純な話」


 そこで、P型センエース2号は、

 スゥと息を吸ってから、

 おそろしく澄んだ目で、ゼッキの目を見つめ、



「俺は、P型センエース2号。いつか、『舞い散る閃光センエース』を終わらせる者……それだけ」



「最後の最後まで、よくわからないままだったな……」


 言ってから、

 ゼッキは、宣言通り、3発目の準備にとりかかる。


「さっきの『異次元砲を殴って消す』っていうワケわかんない技……何がどうなったのか、この目で確かめたいって気持ちがあるから、もう一度、やってくれてもいいよ。ま、出来ないなら、出来ないでも構わないけど。その時は、そのまま死んでくれ」


 淡々とそう言ってから、

 オーラと魔力を溜め終えると、



「異次元砲!!」



 再度、極大の照射を放つ。

 膨大なエネルギーをもって襲いかかってくる、そのイカれた一撃を、



「……はん」



 P型センエース2号は、サクっとデコピンで砕いた。

 指ではじかれるだけで、

 パァンとはじけ飛んだ異次元砲。


「ふぁっっ?!!」


 あまりの衝撃に、口を大きく開いて奇声をあげたゼッキ。


 目の前で起こった光景が、理解できなかった。

 できるはずもない。


 茫然としているゼッキをシカトして、

 P型センエース2号は、

 ゼッキの異次元砲をはじいた指を見つめながら、


「……だいたいのコツは掴んだが……こんなもん、実践で使える技じゃないな……少なくとも、同格相手の真剣勝負では確実に使えない」


 グ、パ、グ、パっと、手を握ったり開いたりしながら、


「無理にたとえるなら、『フルコンボを出さなければ死んでしまう難易度アルティメットのリズムゲー』と言ったところか……『完璧な平常心を保てる場面』ですら厳しい究極超神技。それを、先ほどのような極限状態で成してみせた胆力……あらためて、センエースという狂気には呆れはてる」


 ブツブツと、

 いつも通りの電波を垂れ流すP型センエース2号に、

 ゼッキが、


「……聞き捨てならない発言があったな……」


 グっと視線に力を込めて、


「……同格相手の真剣勝負では使えない技? そりゃどういう意味だ?」


「言葉通りの意味だ。それ以上でも、それ以下でもない。この技……そうだな、『オメガバスティオン』とでも名付けておこうか……オメガバスティオンは、ガチのタイマンでは使い物にならない、完全な死に技だ」


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