究極の誓約!!

究極の誓約!!


「もらうだけで終わるつもりはない! これまでに、ずっと言うてきたとおり、ワシの全部で、あんたを開く! 必ず! あんたの核を開くと誓う! だから、あんたの全部をワシにくれぇえええ!!」


「……」


 ソンキーは、最後の最後に、

 ほんの少しだけ悩んでから、


「……いいだろう。人の身でありながら、ここまで辿り着いたお前の可能性に賭けてやる」


 その了承と同時、

 トウシの全身が輝きで満ちていく。

 とてつもなく深い、高貴な光。


「タナカトウシ。お前と完全な一つとなることで、俺は、長く超えられずにいた壁を超えられるかもしれない」


 期待に包まれた言葉は、

 冷たい光のアワになって、


「俺一人では、どうしても辿りつけなかった壁の向こう側へ……お前と共に、俺は行く」


 トウシの中で弾けてまざる。






「コスモゾーンよ。俺は誓う。ソンキー・ウルギ・アースは、タナカトウシとの完全なる融合を望む。俺はトウシであり、トウシは俺だ。この日、この時、この瞬間をもって、俺達は……『一つ』になる」







 ソンキーの宣言により、世界が鳴動した。

 狂気の誓いが質量をもって、

 コスモゾーンに刻まれる。


 異なる資質を有する『二つの究極の可能性』が、

 天道の最奥で、

 幽明を飲み干し、

 歪に混ざり合って、

 原理を超過した流水になる。






 ――運命のウルティマ・ギアス、起動――






 ――ウルティマ・ギアス。

 それは、この世でたった一人、

 ソンキー・ウルギ・アースだけが使える固有スペシャル。

 ありていに言えば、

 アリア・ギアスの上位システム!!


 冒涜的な覚悟の核爆発。

 ぶっ飛びで未完成な『可能性の塊』たちが、有機的に絡み合い、

 目がくらむほど膨大な『一つ』になる。


 奈落の銀と、凍てつく黒に、

 十界の闘神が弾けて混ざる。


 運命が収束する。

 輝きは、明確な輪郭となり、

 あやふやな概念ではなく、定形の量子をもった神として、その場に降臨する。


 凶悪な美形。

 わずかに残る狡猾さ。


 冷淡な無機質さと、ギラギラの危うさを伴う不規則な屈折。

 艶やかな陽炎。


 ――そんな『彼』に、

 『神の王』は、

 礼節をもって問う。


「お前は、誰だ?」






「俺は究極超神の序列二位。神界の深淵に巣食う宵闇。自縛を司る修羅にして、乱れ咲く銀の流星。彷徨(さまよ)う冒涜(ぼうとく)、ソンキー・ウルギ・アース」






 その名乗り口上を受けて、

 モンジンは、少々呆れ交じりに、


「……合体したんなら、トウシの要素もいれてやったらどうだ?」


 と問いかけられ、ソンキーは、


「役割分担する事にしたんだよ。日常生活ではトウシで、戦闘では俺。その方が合理的だ」


「……ってことは、なにか? もし、お前が勝って、第一アルファ(元の世界)に帰れたら……お前、制服着て、中学校に通うことになるのか?」


「そういうことになるな」


「おいおい、受け入れんのかよ。冗談だろ?」


「それが、ルールだ。ただ魂魄を混ぜただけではない。互いの運命を享受する。全てを受け入れるからこそ、俺は……俺達は、限界を超えて強く輝く」


「くく……はははっ! 笑えるぜ! お前がお行儀よく、授業を受けているシーンを、ぜひ、この目で見てみたい……が、残念ながら、その抱腹絶倒に興じる夢は叶わない。お前は、ここで、俺に殺されるから」


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