俺は究極超神の序列二位……

俺は究極超神の序列二位……


「俺は間違いなく天才だ! ガチャは裏技で鬼引きしまくった! なにより、俺は、究極超神ソンキーの手ほどきをうけたんだぞ! あれだけ強い神様から武を学んだんだ! 才能があって、裏技も使って、神の贔屓も受けたのに!! なのに、なんで! なんで、こんな! こんなのゲームとして成立してねぇ! 不条理なんてもんじゃねぇ!」


「上には上がいて、貴様は、その領域に届いていない。それだけのこと。わめくほどのことじゃない」


 そこで、アダムは、鼻で笑い、


「そもそも、ソンキーなど、たいしたことがない。元最強神と肩書は大層だが、しょせんは、主上様に敗れた数多くのザコの一つに過ぎない……それだけの話」


 と、そう言い切ったその時、








 ――謳(うた)うじゃねぇか――








 声が響いた。

 天上の詩。

 凶悪なイケボ。


 ふわりあそばせ、そよと届く。


 その場にいる誰もが、天を仰いだ。

 空には、亀裂が入っていた。


 亀裂は、二つ。

 十字に刻まれて、バチバチと電流を纏っている。



 十字の亀裂は次第に膨らんで、

 その中心から光が降りた。






「この俺をザコ扱いとは……豪気だな、伊達女……」





 降りた光は、驚くほど端正な顔立ちをした神だった。

 ジャミも相当だったが、一つ次元が違った。

 狂気すら感じさせる極上のイケメン。


 あまりに神々しい、その姿を目の当たりにしたトウシは、


(あれは……ソンキー……いや、違う……オーラが違う……ワシが知っとるソンキーとは、輝きが……全然……まさか……)


 そこで、

 トウシは、

 彼に問う。


「あんたは……もしかして……本物の……」


 トウシの問いを受けて、

 彼は、瀟洒に口を開く。






「俺は究極超神の序列二位。神界の深淵に巣食う宵闇。自縛を司る修羅にして、乱れ咲く銀の流星。彷徨(さまよ)う冒涜(ぼうとく)、ソンキー・ウルギ・アース」






 ソンキーの名乗り口上を受けて、

 アダムが、


「ふん……次元を裂いてまで介入してくるとは……ぶしつけな男だ。どうやら、主上様から聞いていた通りの、空気が読めない大バカ野郎らしい」


「ハシャぐじゃねぇか。俺を相手に、それだけナメた口をきける命知らずはそういない。流石は、あの『ド変態』の側仕え。イカれたやつの側には、イカれたヤツが集まる」


 言葉の殴りあいを経て、

 二人は視線で殺し合う。

 バチバチと、天上の睨みあい。


 ――数秒を重ねた後で、アダムが言う。


「で、何しにきた? 見ての通り、私は子守りで忙しい。貴様のような戦闘バカの相手をしている暇はないのだが?」


「俺のソウルレリーフとレアなシナジーを魅せているそのガキを見て、わずかに……しかし確かな可能性を感じた。長く、俺を煩わせている『巨大な壁』を壊せる可能性。だから、きた……そのガキは俺を開くかもしれない。まあ、とはいえ……」


 そう言うと、ソンキーは、ゆっくりと、トウシの目の前まで歩き、

 トウシの目をジっとみつめ、


「あの酔狂女ごときに負けているようでは話にならない。というわけで、乗り越えてみせろ。そうすれば、お前という可能性を正式に認めてやる」


「……か、勝てんよ、今のワシではアダムには。……まったくもって力が足りん……」


「そんな事は知っている。お前という概念は、まだ、『究極』の域に達していない。そして、その壁は、今日・明日という短い時間で破れるものではない。100年や、1000年、あるいは、万や億といった永き時を積み重ねた先に辿りつける最果ての領域。それが、『この俺』や『そこにいるイカれ女』や『噂のド変態』が立っている異次元」


「……なら、今のワシでは到底……」


 弱さを口にしようとするトウシを、

 ソンキーは制するように、

 その輝く右手を、トウシの胸にあてて、



「一度だけだ」




「……え」




「一度だけ、お前の強化パーツになってやる。誇るがいい。お前は、この俺に、その『ありえない決断』をさせるほどの可能性を示した。それは、他の誰にも成しえないこと。お前は不可能を可能にしてみせた」


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