ネオバグ。

ネオバグ。


「……アホな事言っていないで、お前もちょっと知恵を貸してくれ」


「何もできまちぇんね。オイちゃんもちょっと試してみまちたけど、拒絶されまちた。というわけで、一緒にババぬきをやりまちょう」


「やんねぇよ、ってか、二人でババぬきって正気か、お前」


「えっ……世界一美しい究極超女神であるオイちゃんの誘いを断るなんて……そっちこそ、正気でちゅか?」


「もう、ちょっと、黙ってて。今、俺、忙しいから」


「お、オイちゃんを……こ、こんな蔑ろに……これが、倦怠期……ひ、ひどいでちゅっ! オイちゃんは、こんなにも、お兄に、心を尽くしてきたというのに! 飽きたらポイでちゅか?!」


「シッ、ちょっと、マジで静かにっ」


 シューリをだまらせてから、センは、思考の底へと沈んでいく。



「100人を召喚したことによる弊害……いや、その程度でバグるほど、世界は脆くねぇ。ならば、この異常事態の理由は……」



 深く、頭を回転させるが、

 あまりにも不可解な事象すぎて、証が立てられない。


「考えても分からない領域……となれば、原因の究明・鑑別よりも、まずは対処……」


 そこで、センは、

 今回のデスゲームで仕事をしてもらった『幾人かの第一アルファ人』に調査隊を組ませて、探りを入れてみた。



 ――既にリタイアした連中の『携帯ドラゴンの力』を一時的に復活させた上で、

 1時間ほどかけて、念入りに調査した結果、


「この熱量に、ステータスデータ……まさか……『バグ』か……?」


 調査隊によるデータ報告を受けたセンは、


「いや、バグよりも高性能だな。進化したバグ……ネオバグってところか。いや、名称とかはどうでもいいが……とにかく、まずいな……バグは、マナやナノ・スピリットを内包している超希少タイプの鬼面倒なクソモンスター。バグなら、第一アルファでも力を使える……第一アルファの武力じゃ対抗できねぇ……」


 頭を悩ませた結果、


「だが、携帯ドラゴンの力なら……」


 事前の調査で、すでに、携帯ドラゴンの力なら第一アルファでも、かなり自由に行使可能だという事は分かっている。



「動力源が異質な携帯ドラゴンの力は、第一アルファでも行使可能……携帯ドラゴンが、第一アルファでバグに対抗できうる唯一の可能性」



 辿り着く。

 たった一つの対抗手段。


「ガラパゴス化しちまっているが……どうやら、『俺以外の第一アルファ人』の行き来は可能らしい……となれば……」


 センはすぐさま、ゲームのプログラムを変更していく。

 設定を大幅に変更したのちに、ボソっと、


「イベントとして処理してやる……『センエース印の異世界デスゲーム』を生き残った連中の優秀さは半端じゃないぞ。俺たち『第一アルファ人』の底力を思い知らせてやる」


「タナカトウシを投入するんでちゅか?」


「いや、どうやら、あいつは、今、『壁』を超えようとしているみたいだから、あいつ以外を使う。あいつを主軸にするのは当然だが、あいつ一人におんぶにだっこじゃ、『一歩踏み込んだ先』には進めない……今後も、ネオバグみたいな脅威が出てこないとも限らないし、出来る限り、神話狩りのメンバーを強化しておく」



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