三度目の課題。
三度目の課題。
「貴様らの中に二人、神狼が混じっている。見つけ出さなければ、全員死ぬ。以上だ。では、がんばれ」
そう言ってアダムは瞬間移動でこの場から去っていった。
残されたトウシたちは、全員溜息をついて、
「はい、また全員死ぬパターン、きましたぁ」
「ほんと、俺らのこと、殺したくて殺したくて、仕方がないんだな」
「あの神様、俺らに親でも殺されてんのか?」
「え、ていうか、混ざっているってどういうこと? この中に知らない人とかいないよね? もしかして、すでに二人殺されていて、その人に化けているってこと……?」
「……だろうなぁ」
「ポンポン、殺しやがって……くそったれ」
「あれ? でも、そしたら、『俺らとそいつの間でしか知らない事』とか質問して答えられなかったら狼ってことになるんじゃね?」
「そんな簡単な課題を出す神様じゃないだろ」
「記憶ぐらいは奪ってトレースしてんじゃね?」
「ああ、そのぐらいはやってきそう、あの神様なら……」
「そもそも、俺ら、知り合ってどのくらいだよ。『お互いしか知らない思い出』とか、さほどないだろ」
「理詰めで見つけていくしかないな」
「行動や発言の矛盾……『詰められるところ』まで持っていくまでに、いったい、何人殺されんのかね……」
「つぅか、役職は? 『占い師』なし?」
「……ないんじゃね?」
「追放会議はいつやるんだ?」
「わかんねぇこと多すぎるるだろ。つぅか、説明不足がパねぇ」
「アダムさーん、すいませーん。細かい所のルール説明、おねがいしまーす」
呼びかけるが、アダムは現れなかった。
しかたなく、
「追放会議をやるにしても、材料なさすぎて困るんだが」
「占い師も騎士もいない100人じんろう……こんなもん、ほぼ確定で50人くらい殺されるぞ」
「占い師がいたとしても、よほどのGJやんねぇと、だいぶやられるけどなぁ」
「おい、ガチでどうする?! 怪しいヤツとかいるか?」
「ちょちょ、ちょっと待てよ……『雰囲気が怪しいヤツを探す』なんていう、クソ陳腐なマネは流石にやめようぜ? 偏差値低い初心者の集まりじゃねぇんだから」
「無役職型の初日で、他に何を話し合うんだよ。能力者COもクソもねぇ。『私、村人だから吊ってください』なんて言うやつも当然現れない。そして、現時点では、まだ誰も死んでない。どうしろってんだ」
「寡黙吊りはアリじゃない? というわけで……黒野、お前、全然しゃべってないな」
「わざと黙ってたんだよ。寡黙吊り提案してくるやつを吊るために。河野、お前、あやしいな」
と、そこで、岡葉が、
「はいはい、ストップ。このままだと、疑心暗鬼が広がるだけだ」
両手を叩きながらそう言って、
絶対的リーダーに視線を向け、
「トウシくん、どうする?」
「今の状況やと、流石に、どうしようもないな……役職あったら、手のうちようもあるけど……そもそも、ルールがイマイチ分からんからなぁ……仮に、じんろうを見つけたとして、どうせぇっちゅうねん……フクロ叩きにして殺せってか?」
と、そこで、
アダムが再登場して、
「それでは、これから、三度目の課題をはじめる」
「「「はぁ?!」」」
一斉に届いた疑問符に意識を向けることなく、アダムは言う。
「三度目の課題は、二度目の課題と同時進行で行う。ちなみに言っておくが、神狼だと思う者を見つけたら、私に通報しろ。いつでもいい。もし、それが正解なら、神狼が減る。不正解なら、間違われた者が死ぬ」
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