狂気のデスゲーム。

狂気のデスゲーム。



 腹を抱えて笑っているアダムと同じくらい、

 モニター室では、神の王も、


「ふはは! 勝った! 勝ったぞぉ! 俺は、ついに勝ったぁ! それも、最も苦手な数学で! これは、完全な勝利だ! ひゃははは!」


 愉快満点でガッツポーズを決めて笑い声をあげていた。


「いっつも偉そうにしやがって、あのクソガキが! ざまぁみさらせ! ひゃっほぉ! いぇい、いぇい、ごーごーっっ!」


「み、みっともない……『全世界で最も尊き神の王』ともあろう男が……中学生相手に……恥ずかしげもなく、アバターラのフル投入まで使って……」


「どこがみっともないんじゃい! ちゃんと書いてあるだろ! アバターラOKって! あいつも使えばよかったんだよぉ! あん? あいつには使えない? だからぁ? 俺だって、あいつと同じ頭脳は持ってませんけどぉ?! そっちの不公平は無視で、俺のアバターラ使用だけ文句を言うってのは、道理が通っていないんじゃありませんことぉ?!」


「……」


「だから、その目、やめろぉ!」


「しかも、それだけやって、結構ギリギリの勝利ってところが、もう……みてられまちぇん……」


「なんとでも言え! もはや、こうなったら、恥もヘッタクレもないわい! 長い神生の中で、暇つぶしに数学もかじっていて、ほんとによかった! あー、よかった! おかげで、勝てたー! わーい! はっはぁー!」


「……虚しくないでちゅか?」


「……わりとな」




 ★


 試験終了後、しばらく待機と言われ、講堂で、それぞれの時間を過ごしている面々。

 30000の中には、100点を取った者もチラホラいたのだが、100点に届かなかった者は、全員、トウシから点数をもらっているので、落ちる事はなかった。

 が、しかし、坂本が消されたのを見たばかりなので、誰も安堵の表情などはしていなかった。


 ふいに、岡葉が、


「正直、ヤバいね……ここから先、何回試験をやるのか知らないけど……もし、そのたびに、神様が介入してくるとなると……」


「正直、勝てへんな……流石、神様は格が違った。……仮に、なんかの間違いでワシが一位を奪取できたとしても、ぶっちぎりの二位に食い込んでくるんは間違いない……つまり」

「今後、ずっと、確定で最下位の一人は落ち続けるという事に……」


「10回、試験があったら10人……試験が91回あったら……全員死ぬ……」


「このデスゲーム、ほんまに殺意高すぎやろ……なんやねん……どんだけ、ワシらのこと、殺したいねん……」


「どうにか、対抗策を考えないと……」


「いや、これに関しては対抗策とかないやろ……これは詰んどる……神様に、『頼むから、参加せんといてくれ。大人げないマネせんといてくれ』って頼むくらいしか方法はない……」


 などと悩んでいるトウシたちの向こうで、

 黒板に張りだされた結果を凝視している男子生徒が一人。


 彼の名前は虹宮ケンジ。


 田舎育ちで、地元界隈では神童と呼ばれていた彼。

 だが、


(……ま、マジかよ……ど、どいつもこいつも、天才すぎるだろ……っ!)


 結果を見て、愕然としていた。


 『これまでのガチャ運』が壊滅的だった彼の携帯ドラゴンは、ハッキリ言って弱い(ログボガチャはそこそこだったが、トウシの『ソンキー』のように、一つあるだけで『別格』になれるような大当たりではなかった)。


 しかし、『携帯ドラゴンの強さ云々』に関しては、

 『運がなかっただけだ』と自分を慰めていた虹宮。


 筆記のテストになれば、自分はトップ層だろうと思っていたが、

 実際のところは、


(トップ層どころか……50番以内にも入っていない……数学は、どちらかと言えば、得意な方なのに……)



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