救済措置。

救済措置。


「携帯ドラゴンの強さに主軸をおいたテストもあるし、普通の数学テストなどもある」


 アダムの話を聞いて、ここにいる大半の者は、


(((普通のテストなら、まあ、なんとか……)))

 と考えたが、しかし、一部の者は、


赤原「げっ、うそだろ……俺、『この人生においては、数学を捨てる』って決めて生きてきたんだけど……」

味崎「その30000の中の誰かに100点をとられたら、こっちは1点のミスでも終わりってことか……どんだけ厳しいテストだよ」



「救済措置はある。カス共の上限は100だが、貴様らは、バカテス方式(点数の上限なし)で、かつ、点数の売買が可能」


 それを聞いた赤原が、


「トウシくん! いや、トウシ様!」


 トウシにすがりついて、


「あなた様がゴッソリとかっさらうであろう数学の点数の一部を! どうか、俺に! 売ってくださいませ!」


「うっさいのう……お前かて、頭ええんやから、そこそこの点数は取れるやろ?」

「俺、マジで数学はやってきていないんだ! 歴史系ならどんなレベルの模試でも満点いける自信があるけど、数学は無理なんだ! 『ビブンセキブン』と『ビビデバビデブウ』の違いが分からないってレベルなんだ!」


「そいつは、また、なかなかにファンキーなレベルやな……」


 そこで、岡葉が溜息をついて、


「トウシくん、申し訳ないけれど、苦手科目持ちの人達のサポート、お願いできませんか」

「「「「「「おねがいします、トウシ様!」」」」」


「いや、まあ、別にええんやけど……流石に、ワシ一人で100人分のカバーはできんと思うで。10000点は取れる気せぇへんからなぁ」


岡葉「トウシくんなら10000点も不可能じゃないって気がしないでもないけど……それはさておき、もちろん、トウシくんに全部を押しつける気はないよ。僕ら全員でカバーしていこう。英語なら、TOECで満点以外は取った事がないボクがカバーしよう」


雷堂「数学なら、私もカバーできると思うわ。一応、ヨーロッパ女子数学オリンピックに出た事もあるから」


「ぁ、雷堂さんって、やっぱり、あの雷堂なんだ……」

「え、確か、金メダル取ってなかったっけ?」

「あらためて思うけど、この集団、いろいろやべぇな……」

「中学生のトップ層を集めたって感じだな……」

「よく俺、生き残れてんな……」

「この中でも、ぶっちぎりトップのトウシくん、やべぇな……」


 と、そこで、アダムが、


「このイベント中、貴様らの拠点となる校舎はアレだ」


 指差した先には、近代的なガラス張りの綺麗な校舎があった。


「三階に筆記テスト用の講堂がある。今からキッカリ一時間後に、そこで最初のテストを開始する予定だ。いかなる理由があろうと遅刻は0点になるから、そのつもりで。以上」


 最後にそう言って、アダムは瞬間移動で消えていった。






 ★






 校舎に入ったトウシたちは、さっそく役割分担して、30分を目安に、校舎内の探索を始めた。


「食べ物は、山ほどあるな……」

「寝床もちゃんとしているわね」

「あ、風呂もある」

「ここがテスト用の講堂か……なんか、荘厳な雰囲気だな」

「あ、向こうの校舎を見て、私たちと同い年っぽい人たちがいる」

「……このデスゲームに殺された30000人の魂、そのコピー……か」

「このゲームの主催者ってほんとにクソね……」

「しっ。あんまり、神様の悪口言うな……」

「そやな。神様の悪口は言わん方がええ。あのアダムとか、九華とかって、神様の狂信者っぽいから、下手な事をいうと、ルール無視して、突撃してくるかもしれへんで」



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