『携帯ドラゴン』の『アイテムとして』の、破格のスペック!

『携帯ドラゴン』の『アイテムとして』の、破格のスペック!



 二次試験の概要について、あらかた理解したセンは、

 そこで、『この世界全体の解析』を試みようとした、

 ――が、


(……特殊で歪なプログラム……『俺の干渉』を頑なに弾(はじ)きやがる……ん、ダメだな、今の状態だと権限は奪えない……直接、中枢を奪わないと、支配権は得られない……)


 他の受験生は、この二次試験を理解しようとするだけで必死だったが、

 センだけは、明後日の方向でモノを考えていた。


 常に、どこでも、いつだって、歪(いびつ)にぶっとんでいる存在。

 それが、センエースという大変態!!




「強化パーツを探すのも大事ですが、最も携帯ドラゴンを強くする方法は、他人の携帯ドラゴンを食べさせることです! 食べた携帯ドラゴンが強ければ強いほど、強化値は上昇します! 当たり前の話ですが、食べられた携帯ドラゴンは相手に吸収されてしまうので、どうあがいても復活させる事はできません! ようするに、食べられてしまうと、その時点で問答無用の二次試験失格ということですね!」





 そこで、受験生たちは、二次試験の概要を正確に把握した。


((((((この携帯ドラゴンとやらを鍛えて、他の携帯ドラゴンをくわせ、受験生の数を50人以下にまで減らせば確定で三次に進めるということか……))))))



「最後に一つ言っておきます! 二次を突破した方には、報酬として、『ご自身が育成した携帯ドラゴン』を『その後も使用続けることができる権利』を贈呈します。携帯ドラゴンは、『特殊装備品扱い(装備できる数というのは、基本、限りがあるが、携帯ドラゴンは、その枠から外れているため、仮に、装備できる欄が全て埋まっていたとしても、装備品を外すことなく装備できる)』となり、かつ、そのスペックは強大です! なんと、携帯ドラゴンを装備すると、全ての能力が、携帯ドラゴンの強化値分、上昇するのです。簡単に言えば、強化値100%の携帯ドラゴンを装備すると、能力が2倍になるのです!」


 それを聞いて、センは、瞠目した。


(マジか……装備品を圧迫しない上、たかが強化値100%程度でも『ステが倍』になるだと? ……は、破格すぎる性能……)


 もちろん、100%の携帯ドラゴンを装備して『ステータスが倍』になるのは『他にひとつもステ倍率を積んでいない者』の話。

 センの現状は、『ほかの究極超神器等』で、すでに『ステータスアップ倍率』が『数倍』の状態になっているので、携帯ドラゴンの存在値補正は、ソコに加算される形となる。


 ※ 仮に『ステ7倍のパッシブ』がついている者が、

   強化値100%の携帯ドラゴンを装備した場合、

   『ステ8倍』となる。


 つまり、実質的には、100%の携帯ドラゴンを装備したとしても、現状最大値の『2倍』になるというわけではない。

 だが、『ギリギリのギリギリまで研鑽してようやくたどり着いた最果ての数字』が、簡単に底上げされるという事実には驚きを隠せない。

 ちなみに言っておくと、センのセーブデータ(ようするにピーツが所持している携帯ドラゴン)は、セン自身のビルドと同じく、『覚醒技使用時の倍率アップ』が山ほどついているビルドになっており、装備者が使う『神化などの変身技』のスペックを大幅にパワーアップしてくれる。

 その倍率は、なんと、

 ――『77000%(およそ800倍)』。


 ※ ちなみに、センの『神化などの覚醒を使った際のステ倍率』は、

   現時点で既に『数百倍』の領域に達している。




(携帯ドラゴン……これ、完全にぶっこわれアイテムだな……)



 センが驚いている事になど関心がないナビゴンは、

 そのまま、



「これにて説明はすべて終了! それでは、二次試験、スタートです!」



 そう言った直後、ナビゴンは、スゥっとどこかへ消えた。


 その最後を確認する者など誰もいない。

 みな、即座に行動を開始していた。


 強化パーツを売っている『店』とやらを探す者、

 強化パーツが隠されている『ダンジョン』とやらを探しにいく者、

 強化パーツがもらえる『クエスト』とやらの受注場所を求め街中をさまよう者、


 ――また、なかには、

 さっそく、携帯ドラゴン同士の戦闘を開始する者もいた。


「きゅい!」

「きゅい!」


 『マスター』の命令を受けた携帯ドラゴン同士(AとB)が、殴り合ったり、火を噴きあったりして闘っている様は、かわいげなどまったくなく、非常に生々しかった。


 互いに初期状態で、力が拮抗しているせいか、

 AとBの決着はなかなかつかず、

 かつ、AとB、両方ともボロボロになったが、

 途中で、

 AとBの闘いを外で観察していた『Cのマスター』が、


「今だ! 弱っている両方とも食べちまえ!」


 命令を受け、

 第三者の携帯ドラゴン『C』が、AとBの闘いの間に割って入ってきて、まず、ボロボロになっているAにくらいついた。


「て、てめぇ! ふざけんなよ!」


 横やりしてきたCのマスターに、Aのマスターが殴りかかったが、

 拳があたる直前で、キンっとはじかれた。


「話聞いてなかったのか、お前。ここでは自分自身の力は使えないんだよ、ばかが。そんな頭の悪さでよく二次まで残ったな」



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