激闘。

激闘。



 心を撃ち抜かれた顔で、ただボソっと、芯から沸いた想いをつぶやいたカティ。

 センエースが魅せる、あまりの美しさに、カティの目はくぎ付けになった。


 あまりに動きが早すぎるため、完全には目視できていないが、

 しかし、カティも『超越した目』を持つ超常の女神。


 完全にとらえる事は出来なくとも、遠くから『追う事』くらいはできる。

 追う事くらいは出来るのなら、『最低限を理解する事』だって出来なくはない。


 カティだけではない。

 周囲にいる全ての者達が、センエースに魅了されていた。


 百済の面々は、目で追う事も出来なかった。

 しかし、

 自分たちや天上の方々でも殺し切れなかった存在と、

 『神』が闘っているという事はもちろん理解できている。


 だから、百済の面々は、みな必死になって、神の勝利を願う。


「神様……っ」


 と、胸の前で両手を合わせて、全力で祈る。

 『命の王』が『無為な暴力』に挫けぬようにと、必死になって祈る。

 その想いは、『届かない虚しさ』では終わらない。

 なぜなら、彼らの神は、

 圧倒的な輝きでもって、『彼らの目の前』で美しく舞っているから。



 センエースは、この場にいる全員の想いを背負って、P1と対峙している。

 正直な話、すでに『P型センエース1号の脅威』など『終わっている』のと変わらない。

 何もしなくとも、ヤツは、五分後に死ぬ。

 だが、これは、そういう問題ではない。


 『ゼノリカ』という『ワールドシンボル』に『事実上の敗北』という『穢れ』を残すか、

 それとも、『きちんと乗り越えた』という結果を残し、より『強い輝き』を得るか、

 そういう分水嶺。


 この先にも確実に待っている『無数の困難』に、

 調律者として、胸を張って、毅然と立ち向かっていけるかどうかの分かれ道。


 センは、その事を十全に理解している。

 全てを背負っている王として、

 センは、P1に負ける訳にはいかない。

 P1だって、この期に及んで敗北する事など絶対に許せない。


 意地と意地がぶつかりあう。

 命がはじけ合う激烈な音だけが世界を埋め尽くす。


 超次の戦闘は、さらに加速していった。

 互いに出来る全てをぶつけていく。

 センエースは踊る。

 とっておきの切り札だった『真・究極超神化6』を使い、無数の究極超神器を投入し、

 全力でP型センエース1号を削ろうとしている。


 P型センエース1号も、

 己の『最強』を証明しようと、

 余すことなく全力で、センエースに対して、自身の全てをぶつけた。



 と、そこで、


「センエェェス!」


 ――ガツンッ!


 と、P1の拳が、センエースをふっとばした!

 衝撃波が円状に広がって、直後、炸裂したような音が響く。


 センエースの勝利を願っている全員が、まるで、直(じか)で心でも殴られたかのような『鋭い悲鳴』をあげた。


 その悲鳴に気をよくしたように、

 P型センエース1号は叫ぶ。



「どうだ! どうだ! どうだぁあ! センエース! 俺は強いだろぉおお!」



 吹っ飛ばされた先で、

 センエースは、口から出る血を拭いながら、


「……ああ、強いな」


 ボソっと、そう肯定した。

 そこに嘘はなかった。

 間違いなく、P型センエース1号は強かった。

 圧倒的だった。


「そうだ! 俺は強い! 俺はセンエースよりも強い! お前という――カンストを超越し、真なる究極超神化6という超次元にまでたどり着いた『果てなき最強神』よりも! この俺はぁ! 強いんだぁ!!」


「確かに『今の俺』よりは強いな」

「しらけさせるんじゃねぇえ! 悔しさを見せろぉお! つまんねぇだろぉがぁあああ!」


 そう叫んで、P型センエース1号は、センエースとの距離をつめた。

 拳が届く前に、センエースは身をよじった。

 だがよけきれずに、ガツンと一発いれられる!


 P1の動きがどんどんキレていく。

 絶死を使って以降も、まだ、成長チートは継続しているようで、

 闘えば闘うほどに、P型センエース1号の戦闘力は増していく。


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