三姉妹の実力。

三姉妹の実力。


 宣言すると、三姉妹のオーラが爆発的に膨れ上がった。

 極端な存在値の上昇。



 ――一つ言っておくと、ゼノリカでの地位がコネで決まる事はない。

 見合った力を持っていない者が、不相応な地位につくことはありえない。

 彼女たちが、『九華十傑』よりも『上』の地位である『五聖命王』を名乗っているのは決して伊達や酔狂じゃない。

 彼女達それぞれが、その地位に見合う力を有しているからである。




 ――『第一アルファ人』の『チート的高スペック特性』を引き継ぎ、産まれた瞬間から『この上なく尊い神の王』の手ほどきを受けて育った三姉妹の『資質』はハンパじゃなく、ぶっちゃけ、『資質』だけでいえば、ジャミよりも上。

 だから、当然、ジャミが開くよりも前に、センとこの世界で再開したと同時に、彼女達の神種は開いていた(彼女達の神種は、三至と同様、抑えつけられていただけなので、『洗礼する必要があったジャミ』とは違い、『許す』だけで簡単に開く事ができた)。


 ジャミは間違いなく天才だが、

 彼女達の『資質』は、それを超えている。


 三姉妹の強さは、ジャミを超えている(ほんのわずかな差だが)。

 そして、それぞれが、尖った技能を有している。

 簡単にカテゴライズすれば、

 銃崎は、支援特化。

 才藤は、攻撃特化。

 異守は、ハメビルド。


 その事を知っているP型センエース1号は、心の中で思う。


(三姉妹の相手は、かなりめんどくせぇ……だが、それはつまり、ここを乗り越えた先に、今の俺を置き去りにした俺がいるってこと……超えてやる……ノーデス突破……絶対にやってみせる!)



 激闘は、静かに始まった。

 互いにピタっと制止する。

 数秒、睨み合いが続く。

 これは、支配領域・制圧エリアの奪い合い。

 高次の戦闘。

 このレベルまでくると、戦闘は、殴り合いというより、テーブルゲームになってくる。

 格ゲーから、SRPGになる感じ。

 ※ さらに一つ上の次元にいくと、また変わるのだが。


(目標ノーデス……ならば、ミスは一つも許されねぇ……集中しろ……考えろ……最善の一手を導き出せ……どうすれば、俺は……こいつらを倒せる?)


 静から動に移行するまでに要した時間は20秒ほど。


 ――銃崎が、


「大変な闘いになりそうね……いいわ……私が道をつくる……麗理……」

「あいよぉ」


 才藤麗理の返事を聞くと、

 銃崎心理は、右手をかざして、バスケットボールと同じサイズの『羅針盤っぽい何か』を具現化させ、それを頭上に浮かべながら、


「限定する。道は碧(あお)。奇よりも正に」


 詠唱すると、その『羅針盤っぽい何か』――『ミニスター』が発光する。

 そして、その光は、グワっと広がっていって、

 目に見える範囲、全てを覆い尽くす特殊空間を作り出した。


 その様子を見て、P型センエース1号は、


(……碧(あお)で正……火力よりも防御を取った……長期戦上等ってか……)


 メチャメチャ単純に解説すれば、銃崎のミニスターは、有利フィールドを作るスキル。

 『海フィールドでなら、水属性のモンスターは攻撃力500アップ』みたいなもの。


 ――そこで、異守界理が、

 才藤麗理に抱きついて、


「素敵、素敵っ☆ お姉ちゃん、最高っ☆  お姉ちゃん、完璧っ☆ まず、顔がいい! なにがどう良いとは言いがたいけど、とにかく顔がいい! 五聖命王にこの人ありっ☆ 流石、お姉ちゃんは、格が違った☆」


 極端に激励をする。

 界理が称賛の言葉を投げかけるたび、麗理の体がポワっと淡く光る。


「いっつも思うけど……お前のスペシャルは、ほんとうにウザすぎるな……」


 界理のゴールドスペシャル『超々応援』。

 その効果は凄まじく、『界理に激励された者』は『全能力』が上昇するというもの。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る