P型センエース1号の存在値。

P型センエース1号の存在値。


 ジャミの『神気をこめたリング』をアッサリとやぶってみせたP型センエース1号を見て、ジャミは、動揺し、


「私のリングを敗れるはずがない……どういう……」


 震えた声で、そうつぶやく。


 そんなジャミの『疑問符いっぱいの発言』に対し、

 P1は、少し首をかしげて言う。


「あん? どうしてって……んなもん、プロパティアイで確認しなおせば……ん、ああ、フェイクオーラがオートで発動していたか……悪い、悪い。この闘いの場においては、常に切っておく予定だったんだが……いやぁ、これは、完全にこっちのミスだ。まあ、許してくれや」


 そう言ってから、P1は、フェイクオーラを解除する。

 その瞬間、


「っっ??!!!」


 ジャミの目がクワっと見開いた。


(ば、ばかな……存在値3000万……だと……)


 ジャミのプロパティアイがとらえたP型センエース1号のステータスは、信じられない高みに達していた。



 【P型センエース1号】

 「生命力」―――》》

 「攻撃力」―――――》》

 「防御力」―――》》

 「俊敏性」―――》》

 「耐性力」―――》》

 「魔法力」――》》

 「正気度」―》》

 「精神力」――――――――――――――――――――――――――――――》》



 【ジャミ・ラストローズ・B・アトラー】

 「生命力」―――――――――――――――――――――――――――》》

 「攻撃力」―――――――――――》》

 「防御力」―――――》》

 「俊敏性」―――――――》》

 「耐性力」――――――――――――》》

 「魔法力」―――――――――――》》

 「正気度」――――――――》》

 「精神力」――――――――――――》》





 ハッキリ言って、ジャミよりも、ステータスは低い。

 だが、抗えるだけの数字には達していた。



(信じられない……こ、こいつ……神の領域に辿り着いているじゃないか……)



 ジャミはつい震えてしまった。

 怯えている訳ではないが、つい、驚愕のあまり、体が痙攣した。



 主以外では、初めて見る――

 ――『敵』では、初めて相対する、神の領域にいる者。


 数字がインフレした世界。

 次元が大きく拡大した舞台。

 可能性が極端に広がった戦場。


 そんな領域に、

 『目の前の敵』は立っている。



(神の領域にいるバケモノ……信じられんが、これは事実……し、しかし、では、なぜ、バロールたちは、こいつと闘えた……バロールたちとの闘いは、全部、ただの演技だったのか……)


 さらなる疑問顔を浮かべているジャミに、

 P1は間を置かずに言う。


「そんなに驚くほどの事じゃない。今しがた、俺のレベルが、お前と闘うために最適化された。それだけの話。……ようするに、D型の余剰分はハンパじゃないってだけの話だ」


 ジャミは、少しだけ冷静になり、

 そして、真剣に、P型センエース1号の話に耳を傾けた。

 しかし、


(……い、意味がわからない。……最適化? D型? 余剰分? ……いったい、なんの話……)


 本気で理解しようと聞いてみても、サッパリだった。

 あまりにも情報が少なすぎる。

 というか、あまりにも、P型センエース1号に、説明する気がなさすぎる。


「意味がわかんねぇって? そりゃそうだ。わからせようとは思ってねぇ。説明する気もねぇ。勝手に想像してろ。そして、間違ってろ。その方がこっちとしては都合がいい。……なんてな。ウソ、ウソ。間違った解釈をされたからって、こっちに都合がよくなる事なんて特にない……っていうのもウソだったり、なんだったり、しちゃったり?」


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